【昭和初期の時代劇は「狩り」だった!】チャンバラ映画が仕掛ける敵の円陣演出と人間の動物的本能・恐怖の心理学

【昭和初期の時代劇は「狩り」だった!】チャンバラ映画が仕掛ける敵の円陣演出と人間の動物的本能・恐怖の心理学

本能に訴える昔のチャンバラ

昭和初期ごろまでのチャンバラ映画は、主役を大人数の集団が襲うという対立が山場にありますが、このチャンバラシーンにもストーリーを感じるのでございます。本当に大人数が主人公と敵対するのですが、ただ立っていれば良いということではなく、皆が刀や槍、武器を持って主役を捕らえる・もしくは斬ります。

この時代のチャンバラシーンを見ますと、主人公を捕らえるのに、敵方の浪人や無頼者・渡世人ら、または八丁堀系の与力や同心らが主役を囲んで近づいていく光景をよく目にします。時には主人公と闘っている最中に、バラバラだった集団が大外で円陣の隊列に変化し、グルグルと回り始める行動もよく見ます。なんとも不思議な光景ですが、最初見た時は「昔のチャンバラはこうだったのか」くらいの感想だったのですけど、何か目を釘付けにさせるものと、その隊列、動きには「どこかで見覚えがある」と思ったのです。よくよく思い出してみると、あることに気がつきました。

私は生物学が好きなので、よく動物の生態に関する動画などを見るため、ナショナルジオグラフィックを好んで見ているのですが、集団で生活をする動物ら、特に海の生物の鯨やイルカなどが捕食・狩りをする際に、この円陣を用いて獲物であるイワシなどの群れを追い込んで一網打尽にし食すのです。地上の生物でも同様に、草食の水牛が王者のライオンをわけあって襲った時の動画に、群れを集めた水牛がライオンを取り囲んで仕留めに行く様が描かれておりました。

この時の動物が集団で狩りをする円陣が、昔のチャンバラ時代劇でも使われていたのです。目を奪ったのは動物的本能で危機感を捉えたからであって、人間も動物ですから、円陣で囲まれる行為というのは命を仕留められる行為でもあるので、本能で恐怖を感じるのは当然です。

かつて私もおかまバーに遊びに行った際に、お遊びですけどおかまさんたちに囲まれ捕らえられた時は、何をされるわけでもないのですけど、本能で恐怖を感じました。「囲まれる」というのは、たとえお遊びでも怖いと感じるものだとこの時思ったものです。

このことから、昔のチャンバラ映画で多用されていた「円陣を組んで主人公を追い詰める」という行為は、動物がロックオンした獲物(主役)を絶対に仕留める狩りの図で理にかなっており、同時に見る者に緊張感や恐怖、ハラハラドキドキの心境を催すという、人間の本能に訴える演出だったのであります。チャンバラシーンにこれほど何かを感じたのは、昭和初期ごろまでの時代劇のみです。チャンバラシーンにまでストーリーを込めているとは思いも寄らないので、この時代の人たちの野生さ、演出力には本当に驚きます。

近年のチャンバラは左右から激突するタイプが日米問わず(国問わず)まあまあ見受けられますが、これってただ画面の見栄えが良いだけだと思うので、目にした時は「見た目がかっこいい」とは思いますが、本能から何かを感じるものはなく、こうしたものは意味もないので忘れるものです。

ちなみに、今回紹介した円陣系チャンバラが見られるのは、1928年公開のマキノ正博監督映画『浪人街』、1925年公開の阪東妻三郎さん主演『雄呂血』、1931年公開の大河内傳次郎さん主演『御誂治郎吉格子』などで見られます。他にもいっぱいあります。

ついでに海洋生物・海鳥らのド派手なイワシの群れを狩りまくる映像を紹介したナショナルジオグラフィックの投稿はこちらです。こちらも大迫力ですので、合わせてご覧ください。

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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