1953年大映映画『地獄門』|長谷川一夫さんの“野獣的”美女の起こし方が衝撃すぎる名作
昔の映画には驚く場面が多々あり、現代ではまず見られない描写もあるため、
そこが面白さでもあります。
大映初のカラー映画『地獄門』では、長谷川一夫さん演じる盛遠が、
上皇と御妹・上西門院を救うために身代わりとなった京マチ子さん演じる袈裟を助けるのですが、
その途中、牛舎で追っ手から逃れる際に袈裟が気絶します。
そして、気絶した袈裟を目覚めさせる長谷川さんの“野獣ぶり”が衝撃でした。
長谷川さんは作品によっては野獣になることがありますが、
この場面の野獣度は相当です。戦闘直後ということもあり、
テンションが高まっていたのでしょう。
庭の川の水に頭ごと突っ込んで豪快に飲み、柄杓で水をすくって一口飲んだかと思うと、
そのまま袈裟の顔めがけて口から大量の水をぶっかけます。
しかも一度で終わらず、二度ほど続け、さらに水を飲んだ後、
柄杓をぶん投げて袈裟に獣のように近寄り、頭をつかんで口移しで水を飲ませるという荒業。
現代でこんな起こし方をしたら確実に怒られると思いますが、
あ然としながら見てしまいました。
「もっと別の起こし方あるだろう」とツッコまずにはいられません。
しかし、大映初のカラー映画は、そうそうたる役者陣に加え、
色彩指導に洋画家を起用し、鶏のざわめきのシーンすら
“絵として成立させる”こだわりがあり、細部まで妥協のない作品でした。
カンヌ国際映画祭最高賞、アカデミー賞受賞という評価も納得の素晴らしい映画です。

「地獄門」お話
大映初代社長・菊池寛の戯曲『袈裟の良人』が原作で、
平家物語・源平盛衰記でも語られる盛遠の物語が題材。
袈裟への妄執によって破滅していく盛遠を描きます。
盛遠は助けた袈裟に一目惚れし、平清盛に「袈裟を嫁にしたい」と願い出ますが、
袈裟は既婚者。袈裟と夫・渡は仲睦まじい関係でした。
しかし盛遠は諦めきれず、力づくで袈裟を手に入れようとし、
ついには渡や袈裟の叔母の命を脅すようになり、「従わなければ渡を殺す」と追い詰めます。
袈裟は渡を守るために身代わりとして寝ていたところを、盛遠に誤って殺されてしまいます。
その後、盛遠は髪を剃り、僧となって都を去るのでした。
このように、お話は簡単ですが、美術力、演出力、役者さんたちの演技力が
相当に高く何度でも楽しめる作品です。
1953年大映映画『地獄門』の視聴方法
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