1956年時代劇映画「水戸黄門漫遊記 人喰い狒々」での黄門さま御一行vs東映珍獣
東映は時々すごいことをするなと思うのですが、
時代劇の大スターである月影龍之介さんが黄門様を演じていた頃、
彼を本気で珍獣と戦わせたことがありました。
「人喰い狒々(ヒヒ)」という日本古来の妖怪がいるのですが、
東映特撮が作ったような人型の珍獣が突然登場し、
黄門様たちが巻き込まれて戦うことになるのです。
しかも、彼らはいたって真剣に戦っているので、逆に面白いんです。
中でも、格さん(加賀邦男さん)が空手チョップで狒々と戦う場面には笑いました。
江戸時代に空手チョップなんてあったんですね。
そして狒々の最後は、まるで東映仮面ライダーの怪人のように
崖の上から落とされるという展開で、思わず感激しました。
月影さん、本当によく演じてくれたなと感心した映画でした。

水戸黄門の映画は昔からありますが、大抵は真面目な物語です。
しかし、時代劇黄金期に作られた東映制作の
「水戸黄門漫遊記 人喰い狒々」は、なぜこうなったのか、
何の前触れもなく、突然、東映特撮の珍獣が登場するのです。
当時の時代劇映画は大量に制作されていたので、ネタが尽きたのか、
あるいは急遽内容が変更され、やむを得ず珍獣が登場したのか、
はたまた「これしかない!」と真剣に作ったのか……
理由は分かりませんが、この作品を見たときは衝撃を受けました。
正直、狒々を登場させる必要はまったくないのですが、
公開日が8月15日という真夏のお盆時期であることを考えると、
怪談やホラー要素を取り入れたのかもしれません。
タイトルも「人喰い狒々」ですし、日本古来の妖怪とされていますから。
こんな珍獣と一対一で戦うことになった黄門様も驚いたことでしょう。
月影龍之介さんの表情も真剣そのもので、
持っている杖を構え、狒々を思い切り殴ります。
月影さんの華麗な動きも相まって、
映像としては面白すぎるシーンになっていましたが、
それでも狒々と戦うなんて、よく引き受けてくれたなと感心します。
一方、黄門様の家臣である助さんと格さんも狒々と戦います。
助さん(月形哲之介さん)と格さん(加賀邦男さん)は、
刀を使わずに戦うスタイルが中心ですが、
さすがに危険だと思ったのか、助さんは刀で戦いました。
しかし、格さんは狒々に飛びかかり、
何度も空手チョップを浴びせ続けて戦ったので
このシーンは衝撃的で、同時にとても面白かったです。
結局、この人喰い狒々は助さんと格さんが放った弓矢が致命傷となり、
衝撃のラストを迎えます。
なんと、狒々がふらふらと崖の上から転落し、そのまま絶命するのです。
この「崖落ち」という演出は、後の東映仮面ライダーシリーズに登場する
怪人たちの最期そのもの。
仮面ライダーは1970年代に始まるので、
1956年の水戸黄門の時点では影も形もありませんが、
この時代からすでに「悪役は崖から落ちる」という演出が確立されていたのだと、
改めて感心しました。
映画「水戸黄門漫遊記 人喰い狒々」の視聴方法
東映オンデマンドやAmazonプライムで一部作品を視聴できます。
単品購入やサブスクリプションで楽しむことができます。
上映時間は1時間程度なので、気軽に観ることができます。
今ではなかなかお目にかかれない、
黄門様御一行 vs 人喰い狒々の貴重な戦いを、ぜひお楽しみください。
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