メロドラマ王・上原謙さんの凄み|映画『花ひらく』の芸術的キスシーンと『結婚』に見る少女漫画的王子様像

メロドラマ王・上原謙さんの凄み|映画『花ひらく』の芸術的キスシーンと『結婚』に見る少女漫画的王子様像

1930年代後半〜50年代のメロドラマ映画王「上原謙さん」は大変である。

この年代のメロドラマの多くは女性が主人公ですが、その相手役を務めるのは上原謙さんが圧倒的に多いです。それだけ大人気だったのでしょう。少女漫画みたいな話もあって、実写で王子様系をこなせる容姿と演技はさすがと思いますが、実際はおじさんたちが作っていたと思うと複雑な気持ちになります。

映画は映像なので、メロドラマなどはドキドキするような動きをしてくれると楽しいですが、『花ひらく』という映画に出てくる、上原さんと高峰秀子さんの回転キスシーンは非常に映えて良かったです。肝心なところが見えそうで見えていないのですが、ブレずに一回転する体幹力、美しい抱擁ながらも力強さを感じ、尚且つ優雅であるといった芸術点の高いキスシーンでした。高峰さんが回っている最中に腕を上原さんの前肩から背中へ回すところは、白鳥のように美しかったです。これを成立させたのがすごいなと思うところですが、この時代はよくワルツなどのダンスを踊るシーンが多く見られるので、ダンスの動きの応用とも見られます。やはり芸が素敵なシーンを作ることができる要素の一つなのだと思います。

『花ひらく』という映画は、高峰さん演ずる名家の令嬢が親の決めた見合いが嫌で途中で帰ってしまった時に、友人宅で上原さん演じる冷酷で影のある男に出会います。少女漫画的なキャラクターで、昔からこういうキャラが人気だったんだなと思う一方で、この冷酷な男が、クライマックスの良いシーンで、令嬢の友人を妊娠させてしまったことが発覚した際に「金がない、どうやって育てるんだ」とか言い出して唖然としました。メロドラマのヒロインが恋する男に対して、このような現実的な展開をするのは珍しいと思います。この映画は川端康成さんが監修に入っている映画なのですが、影のある男などロクな人間ではないということを、見ている女たちに訴えたかったのかな?と感じてしまいました。小説家ってたまにダイナマイトを放り込んでくるので。メロドラマをぶち壊す展開に驚きましたけど、これはこれで面白かったです。

『結婚』という映画は田中絹代さんが主役ですが、こちらは本当に王道のメロドラマ、少女漫画的展開を守っている映画です。結婚を誓い合った二人がなかなか結婚できない中でも、甘い二人の日常が眩しすぎて恥ずかしくなるくらいでした。こちらの上原謙さんは、本当に絵に描いたような少女漫画の男です。田中絹代さんは長女で、お父さんが失業中のために大黒柱をやっていることから結婚が先延ばしになっている状態なのですが、仕事をしているシーンが一回も出てこないというミステリーです。父親は早く働けと何度も心の中で思いましたが、田中絹代さんがいい子で、働かない父親にも優しいのがたまりません。自分の家庭の事情で結婚が先延ばしになっていることに対して、上原さんと楽しいデート中に突然泣き出したりするメンヘラ気味なところがあり、ええ?と思ったのですが、上原さんがめちゃくちゃ優しい対応をするのでニヤニヤしてしまいます。あんまりできすぎた上原さんなので、本人はこの時、というか、メロドラマの男を演じている時どんな気分だったのか聞きたいところです。今となっては上原さんのおかげで私は楽しく映画を見れておりますので、ありがとうと言う気持ちが大きいです。

映画の視聴方法

「花ひらく」1948年 東宝オンデマンド加入か、単品購入で見れます。
https://amzn.to/4uyR1I7

「結婚」1947年 松竹シネマ+加入か、単品購入で見れます。 
https://cinemaplus.shochiku.co.jp/titles/detail/70/

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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