時代劇言葉の使われ方「とっくり」
「とっくり」の意味
・ 十分に
・念を入れて
「とっくり」の使われ方
1959年の時代劇映画「たつまき奉行」(遠山金四郎シリーズ)において、
片岡千恵蔵さん演じる遠山左衛門尉が、
桜吹雪を見せる際に言った言葉です。
言葉の意味よりも、
片岡さんが雷が近くに落ちたような音量でセリフを言ったことのほうが衝撃的でした。
お裁きを受ける人々が驚いていたのはもちろん、私も飛び上がるほどでした。
片岡さんはとんでもない大声が出せるのですが、迫力がありすぎて、
お裁きのシーンではまるで不動明王に怒られているような怖さがありました。
歴代の遠山の金さんの中でも、最強の金四郎だと思います。

片岡千恵蔵さんの声について
片岡さんの大声は、単にお腹から声を出しているというレベルではなく、
まるで体全体がスピーカーになったかのような響き方をします。
そのため、その音量でセリフを言われると本当にびっくりするのです。
しかも、いつその大声が飛び出すのかわからないので、
突然の大声にはお化け屋敷にいるようなスリルがあります。
一方で、片岡さんはとてつもなく小さな声でボソボソとセリフを言うこともあり、
そこで音量を上げていると、突然の大声が来たときに大変なことになります。
大声と小声の使い分けだけでなく、セリフの緩急のつけ方も絶妙で、
まるで音楽を聴いているような感覚になります。
そのため、とても聞きやすく、「とっくり」のように昔の言葉で意味がわからないものでも、
片岡さんのセリフの言い方によって、
声の持つ印象や感覚で自然と意味が伝わってくるのです。
時代劇俳優の声の魅力
時代劇の黄金期を支えていた俳優たちは、
皆、しっかりとした発声が特徴的でした。
セリフが聞き取りやすいことはもちろんですが、
一つの言葉の言い方にもこんなに多くのバリエーションがあるのかと、
時代劇を見ていて感心させられます。
素人が言葉を発するときは棒読みでも問題ありませんが、
役者であれば、やはり昔の時代劇俳優たちのように、
セリフの言い方一つを多彩に表現する力を見せてほしいですね。
1959年の時代劇映画「たつまき奉行」あらすじや見どころについては
以前に書いた下記のブログで語っていますので
そちらを読んでください。
1959年の時代劇映画「たつまき奉行」の視聴方法
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単品購入やサブスクリプションで楽しむことができます。
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