1970年主演美輪明宏さんテレビドラマ「雪之丞変化」の魅力

1970年主演美輪明宏さんテレビドラマ「雪之丞変化」の魅力

この作品は、美輪明宏さんが30代、丸山明宏時代に出演された貴重なテレビドラマです。
踊りも所作も着こなしもすべてが最強に美しく、剣の腕前も免許皆伝というキャラクターである
歌舞伎役者の女形・中村雪之丞と、
べらんめえ口調で男気あふれる義賊・闇太郎という二役を演じています。

この豪華な役柄を通じて、美輪さんの表現力の幅がいかに広いかを感じることができます。

美輪さんの演技は、男と女のどちらも演じることで、
「どちらか一方の性だけでは人間として物足りない」と思わせるほどの説得力を持っています。
さらに、歌舞伎役者ではないのに踊りまでこなせるという美輪さんの才能には驚きの連続で、
この作品はまさに「お腹いっぱい」と言えるほどの内容です。

1970年主演美輪明宏さん「雪之丞変化」のあらすじ

長崎奉行により、身に覚えのない密貿易の罪を着せられ、
一家皆殺しの刑に処された長崎の豪商・松浦屋清左衛門。
彼には雪太郎という隠し子がいました。
奇跡的に難を逃れた雪太郎は、歌舞伎役者・中村菊之丞に託されて長崎から姿を消します。
そして20年後、江戸で人気の女形役者「中村雪之丞」として成長し、
復讐のための物語が動き出します。

一方、冤罪の首謀者である土部三斉は、娘の浪路を大奥に送り込み、
御政道を影で操る権力者となっています。
雪之丞と三斉、さらに雪之丞を密かに助けるそっくりの義賊・闇太郎、雪之丞に恋い焦がれる浪路、
そして彼にぞっこんの女盗人お初、雪之丞を付け狙う謎の剣客・門倉平馬など、
個性豊かなキャラクターが織り成す愛憎模様が華麗に展開していきます。

「雪之丞変化」の魅力的なポイント

美輪明宏さんの幅広すぎる芸がたくさん見られる一本

「雪之丞変化」では、歌舞伎役者の女形・中村雪之丞と
義賊の親分・闇太郎という二役(または三役)を演じるのが恒例の作品です。
特に歌舞伎役者の女形という特殊な役柄において、
過去にこの役を演じた多くの俳優は歌舞伎界の人々でした。
しかし、このテレビ版では、丸山明宏(美輪明宏)さんがそのすべてを完璧にこなしました。

さらに、主題歌「むらさき小唄」も歌い、
美輪さんの多才さがこの作品をさらに引き立てています。
この作品は、美輪さんが出演することで「美輪さんのために作られたのでは?」
と思えるほど完璧に仕上がっています。
また、舞台が美輪さんの故郷・長崎である点も、運命的なつながりを感じさせます。

女形・雪之丞としての姿

最初に登場するのは女形・雪之丞の姿です。
全編を通じて様々な着物をまとい、髪型やお化粧、声色まで変える贅沢な演出が見られます。
一般的に、男性が女形を演じる場合、どこか「男性らしさ」が垣間見えることがありますが、
美輪さんの場合は完全に女性そのもの。「観音様のような美しさ」を持つ雪之丞は、
観る者を圧倒します。

その美しさは、所作や表情、感情表現に至るまで完璧で、
まさに貴重な資料としても価値があります。
さらに、免許皆伝の剣の腕前を持つ雪之丞が殺陣を披露するシーンは圧巻で、
美輪さんの演技力の凄さを再確認できます。

義賊・闇太郎としての姿

一方、義賊・闇太郎として登場する際は、べらんめえ口調で低い声、
仕草や着こなしも完全に男性らしくなります。
屋根から屋根へ飛び移ったり、素手で殴り合ったりと、
アクション満載のキャラクターを力強く演じています。

この雪之丞と闇太郎という全く異なる二つのキャラクターを演じ分ける
美輪さんの技量には驚かされます。

雪之丞のモテモテぶり

雪之丞は男女問わず魅了する存在です。
まず、仇敵・土部三斉の娘である浪路は、将軍の寵愛を受ける立場にありながら
雪之丞に恋い焦がれ、土部家も将軍家も捨てて彼を追いかけます。

一方で、女盗人のお初は、吉行和子さんが演じる迫力満点の求愛を見せます。
温厚なイメージの吉行さんが演じる怖い女盗人像は別人のようで驚きです。

剣客・門倉平馬と雪之丞の関係

剣客・門倉平馬は、土部三斉の用心棒として登場します。
門倉と雪之丞はかつて同じ道場で剣術を学んだ同門でありながら、
雪之丞の方が腕が良く、門倉より先に免許皆伝を取得していたことが、
門倉の雪之丞への敵対心の原因になっています。

さらに、門倉は、侍ではない雪之丞が「役者の片手間で剣術を習っている」という点が気に入らず、
ことあるごとに雪之丞に対決を挑みます。しかし、門倉が雪之丞を敵視する一方で、
その態度には妙な執着が見え隠れします。

特に、帯刀しない雪之丞に、自らの刀を渡して決闘を挑む場面が何度かあります。
わざわざもう一本刀を準備してまで雪之丞を探し出す門倉の姿には、
単なる敵意以上の感情があるように感じられ面白いです。

また、門倉が雪之丞を呼ぶ際の「雪!」という特別感のある呼び方や、
執拗な対決へのこだわりは、観る者に
「もしかして門倉は雪之丞に特別な感情を抱いているのでは?」と思わせるような
演出になっています。
この微妙なニュアンスは、細川俊之さん演じる門倉のキャラクターを一層引き立てています。

そして、物語のクライマックスには、雪之丞と門倉の一騎打ちが描かれます。
このシーンでは、美輪明宏さんと細川俊之さん、両者の卓越した殺陣の技術が光り、
緊張感のある名場面となっています。
門倉の雪之丞への執着ともいえる感情と、二人の剣術のぶつかり合いは、
このドラマの見どころの一つです。

映画版との違いとドラマ版の魅力

全13話のドラマ版は、キャラクター同士の相関や心情の変化が丁寧に描かれており、
物語の深みを楽しむことができます。

映画版では時間の制約から削られることの多い要素が、
ドラマ版ではしっかりと描かれているため、満足感が高いです。
美輪さんの雪之丞変化を楽しむには、時間が許すならばドラマ版がおすすめです。

1970年主演美輪明宏さんテレビドラマ「雪之丞変化」 現在の視聴方法

1970年版「雪之丞変化」は、現在DVD BOXでのみ視聴可能です。
この作品は、美輪明宏さんの素晴らしい演技力を堪能できるだけでなく、
貴重な資料としても価値のある作品です。ぜひお手に取ってご覧ください。

◾️雪之丞変化DVD-BOX(4枚組)<丸山明宏主演版>
https://amzn.to/4gEqe6c

最新情報をチェックしよう!
>松元美智子クリエイティブブログ💖公式

松元美智子クリエイティブブログ💖公式

松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

CTR IMG