1960年東映映画「次郎長血笑記 富士見峠の対決」裏切りの展開が魅力的な時代劇
黒川弥太郎さん×近衛十四郎さん×工藤栄一監督という豪華な組み合わせの作品。
この胸アツな布陣に期待して視聴した結果、
その予想を裏切るような展開が待っていました。
猛者たちが集結して生み出した映画ならではの意外性と見どころに、
ただただ感心するばかりです。

「次郎長血笑記 富士見峠の対決」あらすじ
次郎長親分(黒川弥太郎)は、兄弟分の仇をかくまう猿屋の勘助を斬ったことで
代官所の追手に追われる身となるが、
次郎長と妻のお蝶、子分の森の石松、三五郎、大五郎らと、
旅の途中で出会った元気な5人娘たちとの珍道中が始まる。
しかし次郎長の妻のお蝶が道中で倒れてしまい、
次郎長の兄弟分の長兵衛宅(近衛十四郎)に身を寄せるが、
長兵衛一家が次郎長を助けるために苦しい金策をした末、冷酷な久六に裏切られる。
久六はお蝶や長兵衛夫婦を襲い、命を奪う非道を働いた。
激怒した次郎長は仲間を率い、富士見峠で久六とその手下たちに決死の戦いを挑む。
見どころ1:ヤクザ映画に場違いなギャルたちの登場
次郎長親分(黒川弥太郎さん)をはじめ、お蝶(親分の妻)、森の石松、三五郎、大五郎たちは
道中の茶店で、おみよ、おまち、おとき、おつる、おすみというお転婆娘5人組に出会います。
大阪へ旅行中だった彼女たちは、なんと茶店で食い逃げを敢行!
石松たちが追いかけて説教するも、5人娘の強気な態度に石松はタジタジ。
石松はようやく支払い代金を回収しますが、5人娘も一筋縄ではいかず、
ここから次郎長一家と5人娘の珍道中が始まります。
最初は石松への仕返しを狙って悪さをする5人娘。
しかし、次郎長親分とお蝶さんの大人の対応に触れるうちに心を開き、
行動を共にしようとしますが石松たちに断られます。
そこで彼女たちはヤクザの風貌に変装し、
清水一家を名乗って長兵衛(近衛十四郎さん)の家に現れるという、
微笑ましくも笑える展開に。
ヤクザの仁義を切るシーンを見よう見まねで演じる5人娘ですが、
セリフが被ってしまうなど、おかしなやり取りが続出。
ヤクザ映画のシリアスさにコミカルな彩りを加えています。
こうしたコミカルな演出は、東映時代劇ならではでもありますが
予想を裏切る面白い展開をやるからこそ
東映時代劇が好きな理由でもあります。
見どころ2:近衛十四郎さんの無駄遣いとも見える意外な役回り
時代劇界で数々の殺陣を見せてきた近衛十四郎さんですが、
この映画ではなんと殺陣シーンが一切ない設定です。
彼が演じるのは、足を洗った元ヤクザという役どころ。
そんな近衛さんが悪人たちに命を奪われてしまう展開には驚かされました。
時代劇ファンにとっては、「近衛さんが戦わないなんて!」という衝撃も。
この意外な設定が、映画のストーリーに新鮮さをもたらしています。
見どころ3:黒川弥太郎さんの安定感
時代劇界の重鎮、黒川弥太郎さんが演じる清水の次郎長は、安定感抜群。
黒川さんの殺陣は見事で、彼の出演作はどれも安心して楽しめる作品ばかりです。
お侍役が多い印象の黒川さんですが、ヤクザ役の黒川さんも新鮮です。
若者を暖かく見守り、妻や兄弟分をはじめとする周囲の人々にも優しさを見せる次郎長像が、
黒川さんの演技によって魅力的に描かれています。
見どころ4:工藤栄一監督の派手な演出
工藤栄一監督といえば、ド派手な山場演出が特徴。
本作でもその才能が光ります。
崖の上から次郎長一家に向かって大きな石や丸太を落とすシーンでは、
火薬も駆使した危険度満点の演出が展開。
スリル満点で盛り上がる一方、役者たちの命懸けの撮影風景が目に浮かぶようでした。
今では安全面から不可能な演出ですが、
こうした大胆な映像美は、時代劇の魅力を語る上で欠かせません。
映画「次郎長血笑記 富士見峠の対決」の視聴方法
現在、「次郎長血笑記 富士見峠の対決」は
東映オンデマンドやAmazonプライムで視聴可能です。
単品購入やサブスクリプションで楽しめるので、ぜひご覧ください。
5人娘のコミカルな要素が加わり、見やすくなったヤクザ映画でありながら、
迫力満点の殺陣や山場の対決も堪能できる、満足度の高い一本です。
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