3D人形の弱点

2Dで3Dモデルを使うことが最近は見られますが、3Dモデルの特徴について
ご存じない方へのメッセージです。
以下3Dモデルの弱点について書きました。

「手」
3D人形の手は人間の手の動きが完全にはできないものなので、
現時点で無料で使える3Dモデルで作った手の形の模写はしないこと。
トレースは問題外。



3D人形の手の弱点とは以下のような物です。
・手を握る「グー」の形がまともにできない。
ウエイト調整が難しい部位なのでどうしても丸みやへこみ、
隙間が目立つ関節になってしまう。
親指と人差し指の間の水かきあたりのへこみや丸みは特にキモさ際立つ。
・グーの形の時、指の間同士に隙間ができるので離れないようにすると、
水かきあたりがめり込む。
・物を握る形がどの指も非常に弱い。
・漫画のキャラの手は意外と大きいので、
3Dの手を漫画でトレースしてしまうと痩せて小さく見えるのでかっこ悪く見える。

「足」
3Dモデルの素足は小さい。(小さく見える)
手と同様、漫画のキャラの場合足は意外と大きく描いているので、
3Dの素足の大きさで靴を描いてしまうと、
キャラに対して足が小さすぎになります。

「肩」
3Dモデルは骨が鎖骨に入っていないと肩が動かない(上がらない)もの。
肩が動かせない状態の3D人形では、ほぼ全てのポーズに違和感が生まれる。

「全関節」
とにかくどこの関節もウエイト調整が難しい部位で、
関節を稼働させるとへこみや丸みが発生します。
関節を45°曲げるとかキツイ。
しゃがむとか足の付け根はお腹へのめり込む、膝はお腹に刺さる。

「胸やお腹のあたり」
人間どの動作でも胸、お腹周りは必ず動いている箇所ですが、
3D人形は骨が背骨の数だけ入っていないので動きの繊細さにはかけます。
上半身を全く動かさないでポーズをとるとハリボテ感満載になります。

以下の画像はソフトにデフォルトで入っている3Dモデルの
走りの動きを比べる素材です。
見ただけでクリスタのデフォルトの走りモデルが妙なことが
わかるかと思います。

3Dモデルの弱さを細かくあげたらもっとありますが、
そもそも3D人形は静止画のポーズモデルをする為に作られたものではないと
思うので、静止画の素体モデルに使うのは無理があると思うのですよね。
まともな人間の動きが頭に入っていない状態で、
3D人形のデフォルト状態のポーズを模写したり、
トレースしたりしてしまうと、
人の動きとしては間違った形を覚えてしまうことになるので注意しましょう。

他にも3Dモデルは動作による体重移動や、
部位の力の入りもついていないので、
ただこんな感じのポーズが欲しいからと、
それっぽいポーズに動かしても違和感を感じるポーズになると思います。
3D素体モデルは服のシワもついていなく、
想像して描くことになるので、変なシワになりやすいです。

こんな弱点ばかりを持つ3D人形ですが、
ではなぜ3DCGで作られたゲームやアニメの3Dモデルが
波状して見えないかというと、
1体1体のモデルの調整を気が狂いそうなほど調整していたり、
弱い箇所を弱く見せない方法でカバーしているからなのですね。
(莫大なお金をかけているので。)

カメラでモデルの弱い部分を見せないように上手に逃がしていたり、
上から手描き絵を重ねておかしく見えないようにしたりしています。
他にも方法はありますが、3Dのお仕事をしている人たちは、
そういったモデルの特徴を知り、おかしな箇所をおかしいと指摘して、
指摘しただけではなく、おかしくないように見せる技術を揚げて、
違和感なく見せる技術を持った方達なのです。
当然ですが、みんな手描きデッサン本当に上手いです。

3D側からの考えですが、
素体モデルを素のまま使い描いていることはありえない事なので、
3Dモデルを使っても良いけれど、
素の3Dモデルは現状アタリ程度にしか使えないことは
知っておいた方が良いです。
(将来使えるモデルも出てくる可能性はありますが。)

そもそも無料で使える3Dモデルは、
無料で使えるレベルの事しか実装していないです。
リアルな動きは無理です。
ポーズ付きもどこの誰がどんな状態でつけているかわからないので
盲信してはいけないですね。

というわけで、3Dモデルを使うなら、
モデルの特徴(弱さ)を知りましょう。
素のまま使わない。3Dモデルでデッサンをしない。
3Dモデルにポーズをとらせる時、資料をしっかり見ながらポーズを作る、
なんとなくでポーズをつけない。
人間ができないポーズを取らせない。
(モデルの骨が本来なら動かない方向にも動くので、
不自然なポーズができてしまう為。)
体重移動、体の部位の力の入り方をいれる。
肩上げる、上半身板にならないようにする。
手と足はモデルに頼らないで描く。

結局のところ、人間のデッサンをやったり、
人間が動作している写真見て
キャラを描いた方が良いということです。

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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