シネマ歌舞伎「源氏物語 六条御息所の巻」玉三郎さん版六条御息所が人気の高い理由
六条御息所を坂東玉三郎さん、光源氏を市川染五郎さんが演じる
歌舞伎『源氏物語』。
六条御息所、光源氏、そしてその妻・葵の上の関係を描いた中でも、
六条御息所に焦点を当てた作品です。
玉三郎さん演じる六条御息所が、嫉妬に狂い怨霊となって葵の上を襲う、
その変貌していく様が最大の見どころです。
まさかあのように変化していくとは思ってもいなかったので、
人間から怨霊へと変わってしまう六条御息所の姿は本当に恐ろしく感じました。
それを成立させているのは、玉三郎さんの総合的な演出力と表現力の高さだと思います。
舞台上の玉三郎さんは、どの役でも記憶に残るキャラクターを作り出します。
「ここが見せ場です」という部分を明確にしているので、非常に伝わりやすく、
それが記憶に残る理由でもあり、すごいなと思うところでもあります。
また、「ここまでするのか」「ここまで考えているのか」という
舞台裏の姿も玉三郎さんからは感じる気がします。
もう想念の世界ですが、いろいろなことが伝わってきます。
本当に、一度見たら目が離せなくなるお方で困りますね。
玉三郎さん版・六条御息所が人気の高い理由も納得です。
シネマ歌舞伎「源氏物語 六条御息所の巻」のポスターやチラシ・衣装について
こちらが源氏物語のポスター・チラシです。
東京の歌舞伎座近くの劇場「東劇」では劇場内に舞台上の写真が飾られています。
源氏物語の世界では衣装の色合わせで、
着る人のセンスをはかるとされる重要なポイントなのだそうです。
光源氏・市川染五郎さんの六条御息所と葵の上への態度の違い
市川染五郎さんはこの時19歳か20歳頃。光源氏が17歳ということで、
歳の近さも起用した理由の一つでもあるそうです。
染五郎さんの光源氏もなかなか良いと思ったところは、
六条御息所と葵の上の時と言うことや振る舞いが違うところです。
光源氏、六条御息所の前ではエエかっこしいです。
一方、光源氏、葵の上との時は真剣。
光源氏は葵の上と生まれた子の家族三人で仲むずまじく生きていこう的な
決意表明、若者の叫びのようなことを延々と語り若干私は引きます。
しかし、光源氏は六条御息所には葵の上にかけるような言葉は決して言いません。
六条御息所はこうした扱いの違いをしないでほしいと光源氏に訴えるのですけど、
光源氏にうざがられてしまいます。
市川染五郎さん版光源氏はこのあからさまな態度の違いぶりが明確で
良かったところです。
染五郎さんもインタビューで「光源氏の演じ方を間違えると悪人になってしまう。」
ということを語っており、酷くならないように演じた点も伝わってきました。
源氏物語は若いゆえのお話でもありますが、
光源氏17歳六条御息所25歳の時の物語であることを踏まえて見ないと
作品そのものが悪くなるので、源氏物語は現代や年齢の違いからくる
倫理的な問題は横に置いて見るのが楽しく見れます。
こちらはパンフレット。
六条御息所・坂東玉三郎さんと光源氏・市川染五郎さんバージョンの光源氏は
少し可愛らしい雰囲気も感じます。
シネマ歌舞伎「源氏物語 六条御息所の巻」公演情報
全国各劇場で公開中です。
劇場公開期間：2025年9月26日(金)～2025年10月16日(木)
◾️シネマ歌舞伎「源氏物語 六条御息所の巻」詳細
https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/2803/