歌舞伎の定期公演と個人公演は何が違う?坂東玉三郎さんが舞台で見せる「生々しさ」と「異常性」の魅力

歌舞伎の定期公演と個人公演は何が違う?坂東玉三郎さんが舞台で見せる「生々しさ」と「異常性」の魅力

坂東玉三郎さんの特別公演を見に行きました。 歌舞伎座や新橋演舞場などで行われる定期公演と、特別公演(個人公演)では何が違うかというと、定期公演では歌舞伎の王道演目が演じられます。一方、個人公演では王道ではあるものの、王道からは少しだけ外れ、その役者さん自身の個性や世界観を強く出す演目であると思います。 なので、定期公演を見てファンになった方が個人公演に行くと、びっくりしてしまうことがあります。

どういうことかというと、定期公演で見せる姿は大変美しく綺麗なのですが、個人公演では生々しさを感じるのです。生々しさとは、役者さんがどれだけ「自分」を出すかということだと思います。

優れた役者さんというのは、演じることに対して普通の人では考えられないような境地におります。仮に役者さんが舞台で個人を100%出してきたら、場合によっては受け入れられないほどの衝撃、嫌いになるほどのショックを受けることになると思います。言葉は強いですが、それほどまでに突出した存在なのだと感じます。

歌舞伎の定期公演というのはエンターテインメントに徹し、皆さんに喜んで見ていただけるよう、王道を綺麗に見せていると思います。綺麗に見せること自体にも腕が必要なので、プロフェッショナルを感じてすごいなあと思うところです。一方で、歌舞伎役者さんの個人公演は、定期公演では見せていない役者さんの姿を見せてくれるのが楽しみの一つでもあります。

しかし、そこは百戦錬磨の歌舞伎役者さんです。定期公演よりほんの少しだけ個性を出せば、一気におかしな方向へ針が動きます。しかし、次の瞬間には通常に戻すので、「今の感覚は何?見間違い?」と思ってしまいます。歌舞伎役者さんの個人公演はお化け屋敷に入った感覚と似ていると思うのですが、舞台上で驚かせてくるのです。驚かされると記憶に残りやすくなります。

今回の坂東玉三郎さんの特別公演は、竹久夢二の描いた美人画『長崎十二景』に登場する夢二好みの女性たちを玉三郎さんが演じるものでした。半分は演じている映像を映画のようにスクリーンに映し出し、半分は舞台で実演するというスタイルです。この演目の中で、忘れられないシーンがありました。

おじさんの夢二に恋してしまう16歳の少女が登場します。これを玉三郎さんが演じるのですが、カメラに向かって娘姿の玉三郎さんが「パパ」「パパ」と、恋する夢二を呼びかけるのです。そこには玉三郎さんの娘になりきった心情が強く現れていました。強い意志のようなものがないと16歳の少女などは演じられないと思いますが、それゆえに他の美女たちよりも「念」を強く感じ、16歳の少女を演じる76歳の玉三郎さんの生々しさに驚愕してしまいました。その時から、この少女姿の玉三郎さんが鮮明に脳内にこびりついてしまったのです。

玉三郎さんの女型は大変綺麗なのですが、綺麗なだけではありません。今回の16歳の少女を演じた時のように異常性を感じることがあり、そこが魅力でもあるのですが、見るとゾクッとします。「驚愕」という言葉がピッタリです。これほどのインパクトで、舞台を見て忘れられなくなるのはこの方くらいです。

定期公演での玉三郎さんは綺麗なのでいくらでも見られますが、特別公演では本当に定期公演では見ることができない、忘れられない姿が見られます。こんなインパクトのある役者さんもいないので、ぜひ玉三郎さんの個人公演を見に行かれてみてください。

坂東玉三郎特別公演 松竹 
新橋演舞場 2026年4月8日(水)~23日(木)




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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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