【1945年時代劇】『東海二十八人集』|刀を抜かない阪東妻三郎さんのシブすぎる偉業と、伊藤大輔×稲垣浩監督の術に見事にハマった話
この時代劇映画はDVDなのですけど、パッケージが阪東妻三郎さんお一人でどーんと印刷されているので、阪東さんが主役かと思って購入。視聴を始めて約3分後に、阪東さん演ずる清水次郎長から金比羅山へ奉納する刀を納めるために、森の石松演ずる片岡千恵蔵さんが一人旅を始めます。それ以降、阪東さんが出てこなくなるのですが、そのうち出るだろうと思いながら待っていると、出てくる気配がない。30分待ち50分待っても一向に出てこない。森の石松こと片岡さんの元気いっぱいの旅が延々と続き、それはそれで面白いのですけど、「私、阪東さんが見たくてこのDVDを買ったのですが?」と思いながら、残り時間も少なくなってきて、流石に阪東さんが全く出てこないという状態が理解できなくなり、呆然としながら迎えた残り20分を割った頃。森の石松が斬られ、石松の兄貴分の小松村七五郎演ずる市川右太衛門さんが次郎長の元に石松のことを伝えに訪れた時、ようやく阪東さんが再登場したのです。
七五郎や次郎長一家は「石松の仇討ちを」と言うけれど、親分の次郎長はヤクザをやめ、刀は抜かないと金比羅山に誓ったからと座ったままでいる。もう残り時間が少ないというのに、行く行かないの白熱の問答が続き、「これでどうやって映画を終わりにするんだ」という気持ちが芽生え、時計を見ながらハラハラしてしまう中、次郎長は刀は抜かないが、子分たちと七五郎を連れて御礼参りに旅立ちます。
本当に残り時間がなかったのですけど、この御礼参りを決意するところから旅立つ道中が、歩いているだけなのにどういうわけかかっこよく、さらに石松を斬った都鳥と次郎長の問答がかっこよく、次郎長の子分たちと都鳥たちのチャンバラ中に、刀を抜かない次郎長は立っているだけなのにかっこよく、極め付けに一応腰に刺していた刀を鞘ごと手で抜いたので、「ようやく刀を抜いてチャンバラするのか、阪東さん!」と期待したところで、その刀を子分の大政に手渡し、あくまで刀を抜かずにその場を乗り切ってしまうという偉業を達成するのですが、まあここが大変かっこよかったです。
見終わると「ブラボー!」と拍手喝采なわけですが、後にも先にもこんな映画はないです。気になって『東海二十八人集』を調べてみると、主役は阪東さんじゃなく片岡千恵蔵さん。片岡さんが出ずっぱりなので、それはそうだろうと思いました。DVDのパッケージが阪東さんだったので「阪東さんが主役」と思い込んでしまった私のただの勘違いだったのですが、しかしながら、この映画の阪東さんのかっこよさから、DVDのパッケージが阪東さんになっても間違いではないと思います。
出演時間は極端に少ないですが、見終わってみると「阪東さんかっこよかったな」というインパクトが強く残っています。作り方が非常にうまく、見事に裏切られた感があり、監督の伊藤大輔さん、稲垣浩さんというスター監督お二人の術にまんまとハマってしまいました。さすがです。最後まで見ると非常に面白く、カッコいいシーンもたくさんあり、繰り返し見てしまう映画になっております。
片岡千恵蔵さんと市川右太衛門さんがちょっと可愛いです。阪東さんはじめ他の役者さんが結構年上だったせいで可愛く見えたかもしれませんが、このお二人のそんな姿は貴重です。

「東海二十八人衆」は「東海水滸伝」で当時は公開され、1952年に「東海二十八人衆」に改題されて再公開された映画です。
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