1937年時代劇映画 阪東妻三郎さん主演「決闘高田の馬場」のおもしろさ
阪東妻三郎さんの韋駄天走りと、踊るように飛び跳ねながら斬る
「18人斬り」が有名で、時代劇の中で必ず上位に挙がる作品の一つ。
上映時間が52分とテンポがよく、主人公の微笑ましくなってくる“のんべえ”ぶりと、
痛快すぎる「18人斬り」が楽しめる超娯楽作品で、何回も視聴してしまいます。
酒と喧嘩が好きな安兵衛と仲間たちの酔っ払いシーンは、
本当に呑んで演じているのではないかと思うほどリアル。
特に、大八車で徘徊して転ぶシーンは、まるで芸人のように上手く、爆笑してしまいます。
一方、18人斬りの決闘では、こんな痛快な剣戟は阪東さんにしか
できないだろうと思わせるほど、オリジナリティあふれるシーンになっています。

1937年映画「決闘高田の馬場」あらすじ
酒と喧嘩が好きな主人公・安兵衛(阪東妻三郎さん)は、
ある日喧嘩の現場を叔父・菅野六郎左衛門(香川良介さん)に見つかり、説教される。
親兄弟のいない安兵衛だが、長屋の住人や仲間たちから慕われる存在だった。
そんな安兵衛が唯一苦手なのが、真面目で剣術の腕が立つ人格者の叔父・菅野。
叔父は御前試合で勝利したことで、敗れた村上庄左衛門に恨まれ、
高田の馬場で果たし合いをすることになる。
果たし合いの当日、叔父は安兵衛の家を訪ねるが、
安兵衛はいつものように仲間たちと呑んだくれ、まだ帰ってこない。
そこで叔父は、長屋の住人に安兵衛への手紙を託し、果たし合いの場へ向かう。
しばらくして帰宅した安兵衛は、住人たちに急かされながらいやいや手紙を読み始めるが、
果たし合いの内容に驚き、血相を変えて高田の馬場へ向かう。
しかし到着したときには、すでに叔父は多勢に無勢の戦いで瀕死の状態だった。
後悔と怒りに狂った安兵衛は、踊るように飛び跳ねながら刀を振るい、18人斬りを遂げる。
観衆の大歓声の中、安兵衛は叔父に駆け寄るが、すでに息絶えていた。
安兵衛はその場に立ち尽くし、物語は幕を閉じる。
「決闘高田の馬場」の見どころ
踊るように飛び跳ねながら斬る18人斬り – 阪東妻三郎さんの剣戟シーン
この映画の剣戟シーンは、時代劇を数多く見てきた私も驚きました。
監督のマキノ正博さんは阪東さんに踊るように斬ってほしいという演出が伝えられたそうです。
そこで監督は阪東さんをホールへ連れて行き、
ジャズ音楽を流しながらダンスを踊らせて本番に挑んだそうですが、
阪東さん演じる安兵衛が18人を相手に、まるでダンスをするかのように大きく手足を動かし、
飛び跳ねたりキメポーズを取ったりしながら戦います。
そのリズム感のある動きと、さまざまな斬り技の豊富さには圧倒されました。
また、この決闘シーンの周囲には多くの観衆がいるのですが、
彼らも阪東さんの動きに盛り上がってしまうのが納得できるほどの迫力。
果たし合いの場面でありながら、まるでスーパースターのスポーツ試合を観戦しているような
熱狂的な雰囲気があり、阪東さんの魅力にどんどん引き込まれていきます。
阪東さんの剣戟は本当に素晴らしく、記憶に残るシーンでした。
この演出を考えたマキノ正博監督の手腕も見事ですが、それに応えた阪東さんの役者魂も圧巻。
阪東さんの「高田の馬場」は、誰にも再現できない唯一無二の殺陣だと思います。
酔っ払いのシーン
この映画の中で、安兵衛と仲間たちは終始酒を飲んで酔っ払っています。
その演技があまりに自然で、本当にお酒を飲んで撮影したのではないかと思うほど。
また、時代劇でよくあるおちょこや湯呑みではなく、一升枡で酒を飲むという豪快さ。
ひたすら飲んでは酔っ払い、喧嘩をするか、道端でうだうだ言って転がっているという有様です。
しまいには、酔っ払って気がついたら大八車に乗り、
町をふらふらと徘徊しながら転ぶというシーンまであります。
この転ぶシーンでは、まるでコントのように見事な転び方をしており、思わず笑ってしまいます。
また、大八車で転んだ際、車を引いていた仲間がすぐに落ちた仲間を
助け起こす場面があるのですが、こうした細かいやりとりに人間性が表れており、
単なる酔っ払いではなく、仲間との強い絆を感じさせるシーンになっています。
さらに、安兵衛自身は酒と喧嘩好きで、普通なら嫌がられそうな性格なのに、
どこか憎めない愛嬌があり、長屋の住人たちからも慕われています。
酔っ払っていても礼儀正しい一面があり、
その人柄が作品全体に温かみを加えているのが魅力的です。
阪東さんの腰の高さ
阪東さんは明治生まれの身長172㎝だそうですが、
この当時の役者さんの中では大きかったようで
みんなといると頭が一つ出ていて目立ったそうです。
「決闘高田の馬場」での阪東さんは着流しの姿をしていますが、
帯をしめている位置が高いのです。
わざと高くしているのか、本当に腰の位置が高いのか、
どちらかはわかりませんが、とてもおしゃれに着こなしていたのです。
この阪東さんの腰の位置の高い着流し姿も見どころの一つです。
1937年時代劇映画阪東妻三郎さん主演「決闘高田の馬場」の視聴方法
東映オンデマンドやAmazonプライムで視聴可能です。
単品購入やサブスクリプションで楽しむことができます。
本作は1937年公開時、「血煙高田の馬場(ちけむりたかだのばば)」というタイトルでした。
1952年に52分に短縮され、「決闘高田の馬場」と改題して再公開。
今回紹介しているのは、この短縮版の映画になります。
◾️阪東妻三郎さん主演「決闘高田の馬場」
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