東千代之介さん主演映画『めくら狼』(1963)で見せた本物の三味線演奏と男らしさ

東千代之介さん主演映画『めくら狼』(1963)で見せた本物の三味線演奏と男らしさ

1963年の時代劇映画『めくら狼』で主演の東千代之介さんは、
盲目の侠客でありながら、実は三味線の名人という役柄です。
こういった場合、実際には弾かずに音を別に流し、
弾くフリをする演技が多いのですが、東さんは本当に弾いています。

最初は「そんなわけない」と疑って見ていたのですが、
どう見ても弾いているのです。短い曲とはいえ、簡単な曲ではないので
本当に驚きました。

その瞬間、東さんが東京藝大・邦楽科卒であることを思い出し、震えました。
(『三味線音楽(長唄・常磐津・清元)、邦楽囃子、日本舞踊、箏曲、尺八、
能楽、能楽囃子、雅楽の各専攻に関する実技と演奏理論を研究・教授し、
高度な能力を備えた演奏家を養成』する学科です。)

東さんは日本舞踊の家元でもあるため、映画の中で踊る演出は
よく見かけますが、三味線の実演は初めてでした。
踊りも素晴らしいのですが、三味線、さらに歌までこなす方で、
この方には本当に「芸能の神」がついていたように感じました。

東さんは他の役者さんとは少し違う世界にいるような印象がありましたが、
踊りや三味線といった芸の高さが、余裕や自信のような
不思議なオーラを漂わせていたのかもしれません。

非常に驚いた役柄でしたが、演奏シーンがあまり多くないのが
少し残念でした。
それでも何度もリピートして見てしまいます。

(引用:東京藝術大学)https://www.geidai.ac.jp/department/music/traditional_japanese_music

『めくら狼』について

現代では使用が避けられる言葉ですが、当時の時代劇では
盲目の役を描いた作品が多く、代表的なものに『座頭市』があります。

このような役は多くの場合、剣の腕が優れている設定ですが、
三味線が得意で、しかも本当に実演している主役は珍しいと思います。

物語は三味線と渡世人(ヤクザ)の世界を描いており、
時代背景的に渡世人の描写が中心のため、
三味線の演奏シーンが短かったのは仕方がないでしょう。

もっと古い時代には、三味線や長唄を長尺で演奏する映画もありました。
もし『めくら狼』がその時代に制作されていたなら、
三味線のシーンはもっと多かったはずです。

その頃は東さんはまだ学生の頃だったと思いますが。

また、この映画の東さんは、かなり男っぽい印象です。
綺麗な顔立ちをしているため、あまり男っぽいイメージがないかもしれませんが、
60年代前後の同世代の中村錦之助さんや大川橋蔵さんなどと比べても、
かなり男っぽいです。(三人の中で東さん一番年上ですが。)

漫画では描きませんでしたが、無精髭を生やし、仕草も豪快。
端正な顔立ちでありながら、こうした男らしい演出も似合うのだなと
感じました。

東千代之介さんが綺麗な役を演じていた頃とは少し印象が違うかもしれませんが、
私はこの映画がかなり好きです。

さらにこの映画の中では、東さんの驚いた能力があり、
子供を肩車して街中を歩いたり走ったりするシーンがあります。
目を閉じてみるとわかりますが、真っ直ぐに歩くのも動くのも大変ですよね。
しかし、東さんは目を閉じながら
人の往来がある街中を真っ直ぐに歩いたり走ったりできるのです。
また踊るシーンもあるのですが、周りを芸者さんたちに囲まれた状態で
移動距離もある踊りを目が空いた時と同じようにさらりと踊るのです。
これには驚きました。

この映画は東さんの感覚、身体能力や芸の高さも
みることができる作品でもあります。

『めくら狼』(1963年)の視聴方法

東映オンデマンド加入で無料視聴が可能です。
単品購入でも見ることができます。

◾️東千代之介さん主演映画『めくら狼』(1963)
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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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