映画『ハワイ・マレー沖海戦』|少年たちの「フンドシと水泳帽」の衝撃と山本嘉次郎監督の裏話
1942年東宝・山本嘉次郎監督『ハワイ・マレー沖海戦』
海軍省企画・国策映画。海軍飛行兵に志願した少年の訓練から出陣、真珠湾攻撃までの物語を軸とした素晴らしい作品です。予科練の詳細な訓練風景、生活模様が描かれており、東宝の戦争映画ならではの過剰な創作をすることなく、淡々と展開していく戦争映画。公開当時は日本映画史上空前のヒットとなったそうで、キネマ旬報ベストテン1位作品です。
内容、映像も大変素晴らしいのですが、冒頭で少年たちが海軍へ志願するシーンが衝撃でした。二人が語っているときは顔のアップだったので気が付かなかったのですが、その後二人が立ち上がったら、フンドシと水泳帽を身につけているだけという衝撃の格好で、目が点になりました。
時代の違いもあるので、今見ると驚くのも仕方がないと思いますが、フンドシと水泳帽だけを身につけているというのはかなりインパクトがあります。しかもこの格好で川で泳いだり、崖を登ったりするのですけど、カメラの位置があおりで、少年たちの大事なところが丸見えでですね、私は驚いてしまったのですよ。
白黒映像なのでスレスレだったと思いますが、カラーだったらちょっとまずかったのではないかと、要らぬ心配を抱いてしまいました。カメラの位置はそこじゃなくても良かったと思いますが、基本の位置ではありますので、フンドシの裸姿だから気になるのでしょう。
そもそもこのシーンというのは、普通の生活から戦争で海軍飛行兵になる前のところで、少年たちの少年らしい夏の日常風景を描いたところだと思います。この時代もすでに水着はあったと思いますが、日本男児を誇張するためにフンドシを用いた、という可能性もあります。しかし、少年のフンドシ姿はインパクトがあります。さらに水泳帽を被って素っ裸というのが、誰の癖(へき)かしらと考えてしまうところです。
このフンドシ水泳帽姿のシーンのせいで、この海軍主導の国策映画が妙な方向のジャンルにも感じてしまうのは、戦時中ではない現代だからだと思います。
さて、この映画では山本嘉次郎監督が語っているエピソードで面白いことがあるのですが、海軍命令で作られた映画なのに、日本の航空母艦の資料提供が一切受けられずに困ったそうです。仕方がなく、米国の航空母艦の資料や写真を参考にセットを作ったところ、海軍同席の完成試写会で激怒を買い、差し止めとなりかけたのだそうです。結果的に公開されたそうですが、監督は誰がどうやってあの場を収め、公開にこぎつけたのか分からなかったそうです。すごい話です。
東宝の国策映画は何本かありますが、どれも資料性の高い作品です。出演者は大河内傳次郎さん、藤田進さん、清川荘司さんあたりが掛け持ちで出演しております。そのほか、個別で、三船敏郎さん、原節子さん、黒川弥太郎さん、進藤英太郎さん、森雅之さんなどが出演されています。当時の東宝オールスターという感じです。また、特撮に円谷プロが参加し、映像には当時の本物映像も使われているのが特徴です。
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