1927年時代劇映画「百萬両秘聞」デビュー当時の嵐寛寿郎さんがかわいかった
デビュー当時は嵐長三郎という芸名だった嵐寛寿郎さん。
「百萬両秘聞」では若侍の春水主税を演じていますが、
キリッとした顔立ちとスタイルの良さが際立つ美しい侍姿に驚きました。
さらにとても若い頃なので、少年らしい顔が出てしまったり、
歌舞伎の女形出身なので仕草に女形らしさが入っていたりと、
多彩な面が見られ、大変贅沢な魅力のあるキャラクターでした。
嵐寛寿郎さんの作品は1930年代後半以降の映画で
よく拝見していますが、既にベテランで、
春水主税のようなかわいさが混じる演技もしていたとは
想像もしていなかったので、本当に衝撃でした。

「百萬両秘聞」のあらすじ
隠された百万両を求めて旅に出る春水主税が、
旅先で出会う盗賊や妖婦らとお宝の争奪戦を繰り広げる
というお話です。
「百萬両秘聞」に見る嵐長三郎さんの特徴
この作品は前編と後編がありますが、
前編では嵐長三郎さんはポニーテールヘアーに旅姿の若い侍姿です。
この時の姿が美しく、お顔が小さくスタイルがとても良いことに目が行きました。
この姿を見ると、歌舞伎で女形をやっていた、女形に選ばれたことも納得する感じがします。
「百萬両秘聞」では嵐長三郎さんの女形らしさを垣間見ることもできます。
上記の漫画に描いたシーンでは、春水主税が地面を這うように進む姿があり、
これが色っぽかったのです。
カメラの位置とポーズが色っぽく見える角度をとらえているせいで際立っていますが、
表情もなんとなく困っているような顔で、
目もちょっとうるうるしているようにも見えました。
上記の漫画に記されている「ポイント1」というところを見ていただきたいのですが、
嵐長三郎さんの指先を見ていただくと、
小指が離れて、他の指が揃っています。
これが女形の特徴なのではないかと見受けられますが、
普通の女性はこれをやらない、またはできない方も
多くいると思います。
女形の方がする指先の使い方は特徴的ですよね。
次に、「ポイント2」についてですが、
こちらは少年らしい顔が見える嵐長三郎さんです。
石に書かれた文字を見ているのですが、
小学生のような表情や仕草で微笑ましかったです。
「ポイント2」は右足先を指していますが、
地面にちょんっとついた爪先立ちになっています。
この足先ちょんも子供のようで、
お顔の表情と合わさり大変かわいらしい少年の姿でした。
一方で、戦いのシーンになると表情が鋭くなり、
得意の柔道や剣術でバタバタと襲ってくる人たちを倒していくので、
魅力がさらに上がります。
ここまで多面的なキャラクターを見ると、記憶に残ることは確かですね。
もっと若い頃の嵐寛寿郎さんが出演している映画を見たいのですが、
残念なことに古い映画はフィルムの紛失や一部欠損、
GHQの検閲などで多くの作品が失われてしまいました。
戦前は映画の制作本数も特に多かったですし、
残っている作品を見ると素晴らしい映画ばかりなので、
本当に残念で仕方がありません。
残っている映画を何度も見返すのも結構楽しく、
新たな発見もあるので、今はそれを楽しんでいます。