座頭市の原型『不知火検校』:勝新太郎さんが魅せる極悪非道な盲目按摩と「三味線」の天才的音色
1960年の勝新太郎さん主演映画『不知火検校』(しらぬいけんぎょう)は、座頭市の原型のような作品で、盲目で按摩の杉の市というキャラクターを勝さんが演じています。 ただ、杉の市は救いようのない悪党で、人の弱みにつけ込んで殺人、強盗、ゆすりなどの悪行を尽くします。出世と金に欲まみれますが、最期はお縄となります。
座頭市のようなチャンバラは一切ないのですが、映画の中で勝さんが三味線を披露します。この演奏が上手すぎて、極悪非道の杉の市が輝いて見えました。杉の市は盲目なので普段は目を閉じているのですが、この演奏シーンは杉の市が見ている夢の中の話で、目が開いた自分を自分が見ているという演出になっています。この演出のおかげで、杉の市がただの悪ではなく綺麗な部分もあるような印象となり、素晴らしい演出であると感心しました。

ただ、あまりにも上手すぎたので気になって調べましたら、なんと勝さん、10代で長唄・三味線の師匠だというではありませんか。お父様が三味線の杵屋勝東治(きねや かつとうじ)さんで、幼少期から三味線を修練したとのことです。10代の頃はすでに深川の芸妓さんなどに教えていたそうで、本当に驚きました。まさか勝さんが三味線の師匠とは……今後、勝さんの映画を見る目も変わりました。
勝さんの三味線ですが、昔はテレビでも披露したことがあるそうで、その時の映像がYouTubeにありました。こちらは年齢を重ねてからの演奏でしたが、フルで一曲演奏しており、見応えがあります。『水の流れ』という曲ですが、勝さんの演奏を聴いていると水の流れや景色が見えるほど、大変綺麗な音色です。
後年の演奏を見ていると、29歳頃に演じた杉の市での三味線演奏とスタイルが同じ。表情も同じで、特に目に特徴が見られるのですが、遠くを見ているような、違う世界を見ているような目が、杉の市と後年「水の流れ」を演奏するときが同じなのです。すごく興味深い。10代の時に師匠だったということですが、10代で既に演奏スタイルが確立していたことにも驚きました。恐るべき才能だと思います。
YouTubeのURLを貼っておきますので、ご興味のある方はぜひご視聴ください。
埋め込みができないのでURLです。
勝新太郎さん主演映画『不知火検校』はKADOKAWAオンデマンド加入で見れます。
若い時の勝さんが演奏する三味線も大変素晴らしいです。
勝新太郎さん三味線演奏 『水の流れ』
https://www.youtube.com/watch?v=jdm3nWMjr2Y&list=RDjdm3nWMjr2Y&index=1