大映版「水戸黄門 海を渡る」(1961)|長谷川一夫・市川雷蔵・勝新太郎が魅せる“アサシン御一行”異色の時代劇

大映版「水戸黄門 海を渡る」(1961)|長谷川一夫・市川雷蔵・勝新太郎が魅せる“アサシン御一行”異色の時代劇

蝦夷の松前藩やアイヌを扱った映画なのですが、
「ジェイソンニューヨークへ行く」みたいなタイトルに目が止まり
こともあろうか、かっこいい映画を作る渡辺邦男さんが監督されていたのに驚き
黄門様長谷川一夫さん、助さん市川雷蔵さん、格さん勝新太郎さんという
どう見てもアサシン御一行にしか見えないメンツに
どんな恐ろしい水戸黄門になるのか興味津々でした。

とはいえ水戸黄門なのでアサシン的な怖さはなかったですが
所々にアサシンを匂わせる演技が入ってしまうのは仕方のないお三方です。
そこは面白いところでした。
渡辺邦男監督なので中身は大真面目。
諸国漫遊を描いているのに何故か戦場に見えるのは
監督のせいだと思いますが
これまでにない緊張感のある水戸黄門に
のめり込んでいたところを、突然
高熱で命が危ない女を王子様のキッスで治すという
厨二展開が始まりドン引きしました。

大映なので衣装が豪華なのですが
水戸黄門でも何着もそろえるのはすごいと思います。
しかもオシャレ。黄門様はスケルトンの羽織がよかったです。
助さん役の雷蔵さんの衣装も定番の助格スタイルではなく、
白系でまとめられており、通常は水色のももひきがなんと白色。
それが現代アイドルのような雰囲気に見えて新鮮でした。

大映版「水戸黄門海を渡る」はこうした通常にはないことが
たくさん取り入れられており新鮮でアサシンを感じる
ちょっと異色の映画です。面白かったです。

大映版「水戸黄門海を渡る」物語概要

諸国漫遊中の水戸黄門一行は仙台で幽霊船に遭遇。
それが蝦夷の松前藩の御用船だと知り、船に乗り込むと事件が始まります。
盗まれた蝦夷地の測量図を追って蝦夷へ渡り、
松前藩とともに黄門様たちは事件の真相を探ります。
やがてアイヌ民族、悪党、外国勢まで入り乱れ、物語は大きく展開。

アイヌの長・シャグシャインを黄門様と同じ長谷川一夫さんが二役で演じ、
その野性味あふれる怖さと鋭い目つきはまさにアサシン。笑

戦前の時代劇映画では一人二役がよくありましたが、
1950年代以降はほとんど見かけなくなっていたので懐かしさも感じました。
長谷川一夫さんほどの名優になると、まったく別人のように演じ分けており、
安定感と迫力があり見応えがあります。

事件が進むにつれて様々な人々が入り乱れ、
大映らしい力強い斬り合いも展開。
東映版水戸黄門のようなゆるさは一切なく、
緊張感あるストーリーが続く中、
先述の“厨二展開”が始まった時は本当に目が点になりました。

いい意味で予想を裏切られ、記憶に残るエピソードです。
なぜこの“イカつい映画”にメロドラマのような要素を入れたのかは謎ですが、
逆にその奇妙な展開がなければ印象が薄かったかもしれません。
結果的にはプラスだったと思います。

定番の東映制作・水戸黄門とは全く違うタイプの作品で、
賛否両論あるとは思いますが、
ここまで異なるテイストの水戸黄門は珍しく、大映らしい面白さがあります。
ただ、三人とも見た目が怖すぎて、
近寄りがたい水戸黄門御一行なのは確かです。笑

そういえば、映画の中で助さんの雷蔵さんが映画が始まって早い段階で
船から落ちてしまい行方不明になります。
その後助かっているのですが、一人別行動をして
何故か虚無僧の格好で虚無僧笠を被り謎の男を演じるので
雷蔵さんほとんどお顔が見えないのは残念でした。
また雷蔵さん声を変えるのが非常に上手いので、
最初は別人の人だと思ってみていたので
びっくりしましたが、雷蔵さん本当に器用な方です。

大映版「水戸黄門海を渡る」の視聴方法

現在はDVD視聴のみです。

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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