時代劇の「落とし穴」演出を比較!新東宝・東映の違い
昔の時代劇には「落とし穴」がよく登場しますが、
だいたいは畳の部屋で、畳が落ちて歩いていた人がそのまま落ちるというものです。
新東宝は、イラストのように畳が落ち、人も落ちるのですが、
音もなく声も上げずに「スッ」と落ちていきます。
東宝系は、だいたいさりげない、自然な延長線上の演出だと思います。
一方、東映は新東宝とは違い、畳が落ちる時から大きな音が入り、
派手なポーズと表情で落ちていきます。
今回イラストに描いた中村錦之助さん主演映画
「源氏九郎颯爽記 白狐二刀流」(1958年公開)では、
落とし穴の仕掛けが凝りすぎていて面白かったので取り上げました。
錦之助さんは武芸達者なキャラなのですが、
落とし穴の畳が落ちて驚き、体勢を崩します。
しかし身体能力の高さでジャンプして、天井の格縁(ごうぶち)を掴み助かります。
すごい握力ですよね。さすが超人キャラです。
しかし、そこで終わらないのが東映時代劇。
なんと、ぶら下がった錦之助さんを天井ごと落としたのです。
さらに落とし穴の下側が見えると、そこにはダンジョンのようなスペースがあり、
深い深い落とし穴があるのです。
この演出には「そこまでするか」と目が点になりました。
1950年代半ばごろの東映は、落とし穴や天井落としをよく利用していたのですが、
「源氏九郎颯爽記 白狐二刀流」の落とし穴の演出・仕掛けは、
歴代でも上位に入るであろう大掛かりなもので、
大道具さんたちの仕事ぶり、映画スタッフの皆さんの技術には驚かされます。

だいたい東映の落とし穴演出は、アトラクションに乗っているような、
お化け屋敷に入ってお化けに出会ったようなノリで、
わーきゃー騒ぎながら大きな身振り手振りのリアクションをして落下します。
役者さんたちは本当に元気いっぱいで演じてくれるので、
見ているこちらも笑ってしまいますし、元気にもなります。
天井落としのほうも、他の作品でかなり凝った演出があり、
どうやって作っているのか関心を持ってしまうほどです。
「源氏九郎颯爽記 白狐二刀流」の視聴方法
東映オンデマンドに加入すると無料で見られます。
単品購入でも視聴可能です。
もしかすると、Amazonプライム会員なら無料で見られるかもしれませんので、
お確かめください。
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