1963年大映映画『新選組始末記』|近藤・土方の性格の悪さとサイコパス的な演技がハマる!元新東宝スターたちの怪演と新選組のリアルな描写
新選組隊士らは良い人物に書かない方が好みなのですが、1963年の大映映画『新選組始末記』は近藤・土方をはじめ、結成組の性格の悪さを描いていて面白いです。さらに近藤、土方、芹沢を元新東宝の若山富三郎(城健三郎)さん、天知茂さん、田崎潤さんが演じているのですが、東宝・新東宝の役者さんというのは二面性の性格や、初対面はいい人だけど付き合っていくうちにあれ?という性格の悪さをいい人ぶって出してくるといったサイコパス系をやらせたら本当に上手なのですが、このお三方がそれを存分に発揮し、大映映画なのに「新東宝劇場」になっており、純粋無垢な役柄を演じていた市川雷蔵さんが、役とはいえ、このお三方に本気で嫌悪し、ドン引きした表情をしており、大変面白かったです。

三人が泥を被ってくれたおかげで大映のスター・市川雷蔵さんの純粋な山崎のキャラが輝いたとも見れますが、配役だけなら新選組の映画、テレビの中でトップクラスだと思います。近藤・土方は「本当にこんな人たちだったんじゃないのか」と思えてくるほど近藤=若山さん、土方=天知さんがハマっており、隊士らの前で見せる顔と仲間内に見せる性格の悪い顔、行為の違いを本当に上手に演じていて感心してしまいました。
若山さんは素の自分なんじゃないかと思うほど自然に良い面と悪い面を出していました。天知さん演ずる土方は結構ひどいし残虐的なのですが、これも似合っていました。芹沢一派を始末する際の土方は本当にひどいのですが、新見錦に切腹を言い渡し、切腹する席で沖田に「後で狂言を見に行こう」と言い、話を受けた沖田も笑っている。芹沢も切腹させる予定でしたが、夜襲して斬り殺したのに、賊に襲われたことにしたり、この辺は他の作品でも描かれていますが、天知さんは心底酷い人だなーと思う演じ方をしていて心の底から感心しました。
また、芹沢を殺しておいて、芹沢の葬儀の時に、芹沢を褒め称えて号泣する近藤演ずる若山さんの姿は私もドン引きしましたが、さらにこの後、天知さん演ずる土方が隊士らの前で近藤を褒め称えて涙の演説をするのです。近藤・土方の二面性を知った雷蔵さん演ずる山崎烝が、本当に軽蔑している目で見ているのですが、そんな表情をする雷蔵さんを見たこともなかったので、演技なのか、元新東宝組の鮮やかな悪い人の演技に本気で軽蔑するに至ったか、ここは大変面白いシーンでした。
田崎潤演ずる芹沢は亡くなっているのですが、この元新東宝劇場を見ていると、田崎さんは本当は生きているんじゃないのかとさえ思いました。お金をもらって引っ込んだとか、そんな感じ。そう思えるくらい連携プレイのようなものも感じてしまいました。
新選組結成メンバーの他の人も少々あれ?と思う行為が描かれており、芹沢を残虐に斬り殺した後、「愉快愉快」と言って爆笑する原田や、奇声をあげて間者を追いかけ斬り殺す沖田総司など、他の映画では見られないキャラクター像で描かれています。
新選組は武士に憧れた田舎者で、武士というものを勘違いした集団で、おおよそ「壬生浪士」が京都で言われていた通りなのだろうと思います。そういう部分をちゃんと描いていた『新選組始末記』は結構納得する映画でした。
余談ですが元新東宝や東宝の役者さんがこの映画のように他の映画会社で荒らしているのは他の映画にもあるのですが面白いです。また別の機会に書きます。