舞台つかこうへい原作「銀ちゃんが逝く」

舞台つかこうへい原作「銀ちゃんが逝く」

男と女って暗いもの抱えるほど綺麗だなって思いましたね。
他、どうにかしようとしても奥さんと娘に軽んじられる旦那さんの本音、
つかさんて経験していなくても共感してしまう本音を書くの上手ですよね。

つかこうへいさん原作の舞台が公演されると聞いて、
昔映画蒲田行進曲を見て色々と衝撃的な映画で
強く興味を惹かれ映画がビデオになって以降も
何度か見ているのですよ。
その時につかこうへいさんを知ったのですね。
蒲田行進曲の続編の小説も読んでいて
それが銀ちゃんが逝くという小説なのですが
あの話をどう舞台にするのかとても興味があり
公演を見にいったのですよ。

役者さんはつかさんに関係のあった方々が演じられているようで
安心して見ていられる感じありましたね。
と言うのも、つかさんの話って結構バイオレンスで、
今の時代に初めて見る方ですと問題を感じてしまうような
昭和的な表現が多々あるのですよ。
そういったこともあったと言う
時代で片付ける軽いことではないのですが
バオレンス行為が日常にあったのは昭和の事実なので
昭和の方は何となく言わなくてもわかることですが、
平成以降の方達へは
その辺りの時代背景を伝えることが過去の話を語るときには
必要になってくるのかなと思いましたね。

銀ちゃんが逝くは
蒲田行進曲の続編なのですが
ストーリーは蒲田行進曲よりも重いです。
登場人物一人一人の表面的な顔の部分と本心や生い立ち、経緯を語るので
必然的に重くなりますね。

昨今は日本のアニメや漫画でも
華やかな絵で楽しそうな内容なのかなと思って
見ると人間関係のドロドロ話が書かれていたりしますし、
海外映画も時代の問題を取り扱う内容が多く、
現代は人間の業みたいなものを語る作品を作る傾向が多いんじゃないかと思います。
ですので、銀ちゃんが逝くも
今の時代にとてもよく合う内容であると私は思いますね。

銀ちゃんが逝くのお話の主人公は銀ちゃんで
映画スターで華やかさがあるのですが
内面はナイーブなところもある的な
映画蒲田行進曲では光の部分と少しナイーブなところがあるキャラクター
と言う感じで少し軽めのキャラクターになっていたのですけど
銀ちゃんが逝くでは銀ちゃんの出生、生い立ち、過去が書かれていて
それが結構ディープで重いんですよ。
銀ちゃんが逝くでは銀ちゃんのお父さんも登場するのですが
男親が出てくるとさらに重さを増しますね。

もっと言うと、出演者が小夏以外全員男なのですが
男の内面って重い。
特に成人男性は女性のように
ベラベラと言わないので表面上はわからないけど
結構ドス黒いもの抱えていたりします。
その男の内面をオープンにしたのが銀ちゃんが逝くなのですよ。

内面を語るには言語化にする能力も関係するので
ただ単に内面をどう語るのかわからないから言わない
と言うこともあると思いますけどね。

しかしこの暗黒のような内面が
舞台上では私には光にも見えた部分なのですよ。
特に小夏と銀ちゃんのラストの階段で感じたのですが
それまでの二人の関係や内面も見ていて
二人の最低だなと思う部分もわかり、
可哀想だなと同情する内面もあるのですけど、
それでも日本刀持って戦う二人に(演じている映画の中のシーンですが)
もう勝手にしなよと思うのですよ。

ですけど何故か向き合う二人が輝いて見えまして、
男と女って本当に綺麗だなと思ったのですね。
話はそれますが
よく憎しみが深いと愛が深くなると言う例えがありますが
愛と憎しみは深いつながりがあると言うのは
本当かもしれないと思った場面だったのですね。
もしかすると舞台のライトのせいで輝いて見えただけかもしれませんが
演じている小夏と銀ちゃんの大下順子さんと春田純一さんは
結構な年齢なのですけど
階段落ち前の二人が戦うところはアダムとイブのように本当に美しかったです。

それとこの二人に強い関係のあるヤスの
小夏と娘さんに自分が二人にどう思われて扱われているかを
語るシーンがあるのですが
ここは本当に可哀想でしたね。
こういう旦那さんのことバカにする奥さんと子供って
実際いるじゃないですか。
切ないですね。

ヤス以外の男性キャラクターもみんな
ヤスのように痛い心の部分を持っていて
最初はみんな本心を語らないで強がりっぽいこと言っているのですが
男の人の本当の本音って
普段の生活でなかなか聞けないことと思いますから、
こう言う舞台でどんどん語るって言うのも良いんじゃないかと思いました。
代弁というのかな。

私の近くに座っていたおじさんが何人かいたのですけど
みなさん涙流していましたよ。
タオル持って泣いていた人もいました。
男の人の声って男の人じゃないと
引き出せない部分も多くあると思うので
そういう男の人の本音が聞ける舞台も良いですね。

そしてこの銀ちゃんが逝くを演出したのが
少年隊の錦織一清さんです。
錦織さんは演出以外に出演しまして
病院の先生の役だったのですが
とにかくどのシーンも全て鏡見てるのかなと思うほど
ポーズが綺麗です。
踊りに大変定評のある方なのですが
いちいち綺麗なんですよ。立ってる姿も後ろ向いてる姿も。

特に銀ちゃんに本身の日本刀を渡すシーンの
片膝ついて両手で刀を銀ちゃんに出すところは
ゾクっとしましたね。あまりに完璧なポーズで。
錦織さんの様々なシーンのポーズ集出してくれないかなって
思いましたね。
また、錦織さん日本刀渡す時になんでサングラスしているんだろうと
思ったのですが、そういう不思議な演出するのも面白いです。
舞台最初の錦織さんにマイウエイの歌も
さすが少年隊の人ですね、聞き入ってしまいましたね。

本当に素晴らしい舞台でした。
また舞台の公演があったら見に行きたいですね。

会場の入り口に植草さんの大きな黄色い花が
ありました。
植草さんのように華やかですね。

こちらが舞台のチラシ。

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錦織さんの舞台演出の本が出ているのですが
こちらも興味があり拝見しました。
舞台演出のことが一般人でもわかりやすく書かれており
このお仕事を知るにおすすめです。


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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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