幅広い世代へ共感される多様性のある作品錦織一清さんのサラリーマンナイトフィーバー

幅広い世代へ共感される多様性のある作品錦織一清さんのサラリーマンナイトフィーバー

近年の漫画やアニメ、映画やおもちゃ、ゲームでなどの
商品は対象年齢が非常に細分化されてきています。
対象年齢を設けている商品は
個人へのアプローチ、個人の満足度には有効ですが、
個人向け商品は大衆向けとなると弱い。大きくは売れない。

大衆向けを作るにはどうすると良いかというと
同学年、同世代、同姓、個人、という小さな枠からは離れ、
年齢差が広い、性別違い、住む地域や国籍、他業種での仕事、広い趣味など
幅広く取り入れることがポイントです。
とは言ってもこれを全て入れるとなると作品や商品の場合は難しく、
波状しやすくはありますが、
一つだけどの世代でも、どの性別でも、どの業種でもこれを使えば
簡単にできてしまい、共感が得られやすくなるものがあります。
それが「家族」を扱うことです。
家族は世代も性別も違います。
そしてその家族が住んでいる「地域」を舞台にすると
家族以外の多様性のある人たちを巻き込むことが可能になり
一気に幅広い年代へ向けたものが作りやすくなるのですね。

錦織一清さんが脚本・演出を務める舞台、
「サラリーマンナイトフィーバー」は
主人公はタイトルにあるように、サラリーマンなのですけど
サラリーマンはお父さんでもあり、年頃の娘さん、奥さんがいて
高校生の娘さんとの関係がよくないという間柄です。
このお父さんはうだつのあがらないサラリーマンだそうで
仕事でも家庭でも問題を抱えているのですね。
娘は娘で学校の友達にサラリーマンのお父さんは
グーグル社員と嘘を言っていたり、
娘の友達も問題を抱えていたり、
他にも登場するキャラのほとんどが生活の中にあるような問題を
抱えているのですね。
登場人物はサラリーマンの同僚や上司や社長、奥さんの友達、
娘の友達、サラリーマンの通うスナックのママ、
警察官、ホームレス等、サラリーマンとその家族のいる地域の人たちです。

舞台上でこの多くのキャラたちが抱える問題を話したり、解消したりしていくわけですけど
家族や地域という誰もが触れている環境なので、わかりやすいし入り込みやすい。
扱っている問題も、普段の生活の中にあるような問題なので共感が持ちやすいのですね。
で、この共感は見ているお客さん全員が
登場人物全員に共感をする訳ではなく、
一人のお客さんは幅広い登場人物の中の1人、2人に共感をするのですね。
共感場所はお客さん一人一人それぞれ違う。
やっぱり女子高生の悩みはなんとなくお父さんや男の人にはわかりずらい、
男のサラリーマン同士の子供じみた会話は女性には共感しづらかったりする。

多くの登場人物に対して感じる共感には個人差が発生します。
なので、登場人物は一人よりも多くいた方が良い、
世代や性別違いのキャラがたくさんいればいるほど、
ひとり一人の問題や課題が多いほど、
幅広い世代、性別のお客さんからの共感を得やすくなるのですね。

舞台の場合、客側も周りの人がどこで涙を流していたりするか見えるのですが、
人が共感(感動)をしている箇所に、自分も共感するかというとそうでもなかったりする。
でも、この人の共感を生んだ箇所についての内容は私には刺さらなかったけれど
この人の感動は理解できる。それは人間が誰しもが持っている
感動するという感覚機能の一つであるので理解できるのですね。

そういった共感を分かち合うことができると、
初対面で話したことのない人でも親しみを感じるものです。

今は、個人に一台のスマホで、家族内でも友達同士でも
相手の知らない面がたくさん存在します。
知らない面がたくさんあると共感の数も少ないです。
サラリーマンナイトフィーバーのように、幅広い世代を扱った作品は
見ている側に各世代間で行われていることや、自分以外の相手の興味や性格を
いっぽ踏み込んで知ることができます。

異世界や美しい華やかな舞台設定ではなく、
サラリーマンという決して派手ではない部類の職業の方にスポットを当て、
その人の家族や地域の人たちの現実的な問題に目を向け、わかりやすさに徹底し、
そのわかりやすさで自然と心に湧き起こる共感が、
とても人間らしくて、素直な気持ちにもなります。

見終わった後、なんとも心地よい作品で
いろんな人が愛おしく思えるようになりましたね。

個人的にですが
特に第二部がお気に入りです。
錦織さん(ホームレス)の奥さん役のCAさんのエピソード、
サラリーマンの娘さんと友達のポーチのやり取りのエピソード、
その娘さんの友達の本当の話、
スナックのママのエピソード
が共感しましたね。

錦織さん男性ですけど
異性である女性、しかも幅広い世代の女性の
非常にリアルな話をどうやって作ったのか興味ありますね。
CAさん特にリアルでした。ありそう。

錦織さんが登場した時、あまりに自然すぎて
どこから出てきたのか、いつの間に出てきたのか
気がついたら舞台上にいてびっくりしました。
ひとりだけ飛び抜けて超自然な演技で
この方がよくネットでただものじゃないと言われるのが
とてもよくわかりましたね。

また、この舞台を見た日は少年隊の植草さん、かっちゃんが
トークショーで参加した日です。
かっちゃんめちゃくちゃかっこよくてオーラがすごかったです。
声が半端なく良かったですよ。

あと純名里沙さんも目が釘付けになる程綺麗で
自然な感じのママで素敵だなと思いましたね。

やっぱり芸能人、長く芸能界で活躍されている方は
普通の人ではない感じしますね。
錦織さん、かっちゃん、純名里沙さんは目が離せなかったです。

舞台を見る前にTwitterで話題になっていた
SMAP中居くんの花見つけました。

サラリーマンナイトフィーバーは
毎日セリフが変わるとのことで
常に進化する舞台のようです。
また数年後に見てみたいですね。
どんな話になっているか楽しみです。

この舞台を知ったのは錦織さんの著書を読んだことがきっかけで
東京日本橋の三越劇場で上演されることを知り
見に行こうと思いました。
こちらの本もとても勉強になる一冊です。
なかなか演出家さんの本は少ないので貴重です。
↓こちらのブログで読めます。

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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