不登校の要因に関する教員側と子供側の相違と語彙力

不登校の要因に関する教員側と子供側の相違と語彙力

2018年度の「不登校」もしくは「不登校傾向」があった
中学生1968人のアンケート調査結果がこちら。
回答者は学校の先生及び生徒達です。
・文部省調査の「教師」 青色の棒グラフ
・NHK調査の「子供」 オレンジ色の棒グラフ

引用:不登校は「家庭が原因」?教員と生徒で食い違いNHKによる中学生1968人調査で見えた実態
東洋経済オンライン

NHK調査は、文科省調査と比較もできるよう、
質問項目等をそろえて実施。
文科省調査とのちがいは、回答者が子どもであること。

この調査方法をすることにより、
不登校の要因について、
教員と子どもの認識のちがいを検証することが可能、
と言うことになります。

表を見てわかるように
不登校の原因には
教員と子供の回答で大きく違いが見られます。

教員側が不登校の理由は家庭にあると言う回答が30.8%
子供側は教員との関係、いじめ、部活動、決まりや法則、家庭
それぞれで21〜30%と答えており、
特に「教員との関係」、「いじめ」で大きな乖離が見られます。

「教員との関係」が理由
教師側は2.2%
子供側は23%

「いじめ」が理由
教師側は0.4%
子供側は21%

教師の回答で顕著なのが
「家庭」30.8%
子供側は家庭を理由にあげたのは21%

教員と子供の理由に乖離があることから
不登校の原因の認識に食い違いが見られることがわかります。
この調査をみると文部省調査の調査理由結果を
正しいとすることは疑わしいという見方もできます。

しかし別の調査では、
不登校になった直接の原因は何かという
小中学生に答えてもらった調査を見ると、
子供側本人の「身体の不調」「生活リズムの乱れ」が上位に挙げられます。
「身体の不調」小学生26.5% 中学生32.6%
「生活リズムの乱れ」小学生25.7% 中学生25.5%

不登校になる理由は学校や家庭だけではなく、
本人の身体的問題もあるということがわかります。

また、この調査で目を見張る理由に、
不登校になった直接の原因は、
先生との関係、友達との関係、勉強が上位であることに対し、
家族関係、親が理由とする回答は低いということにあります。

最初の調査と2番目の調査を調べて
疑問を持つのが教員側の認識。

最初の文部省調査で、
教員達は「教員との関係」が理由であると回答したのは2.2%ですが
下記の子供達の回答は「先生のこと」が29.7%です。
最初の調査で子供側が「教員との関係」が理由であると回答したのは23%と
2番目の調査と比べても同じくらいです。

教員側はなぜ家庭に原因があるとしているのでしょうか。

引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省
引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省

以下、私個人の感想になりますが。
人間の心理面から見ると簡単なことがあり、
人間は子供であろうが大人であろうが、
行きたくないところには行かないのであって、

学校が嫌であれば行かないし、
家庭の方が学校より嫌であれば学校へ行く。
学校も家庭も嫌であれば他のところへ行く。

学校で嫌なことがあるから
学校に行かないことは
人間の本能から見ても正当な理由である。

最初の調査にあった、
不登校の理由が家庭に原因があるとする
教員側の多い回答は何であろうか。

教員側からの見方を予測ではあるが
考えてみると、
子供本人の身体的な体調不良を
「家庭」の理由としてプラスしているので、
家庭が理由とあげる教員数が多い。
という見方はどうだろう。

そうすると教師側からの家庭が理由とする著しい多さも
なるほど、と思う見方はできる。

しかし、実際に不登校になったときに
誰に相談したかという下記の令和2年の文部科学省調査では
相談相手は家族が過半数近くと圧倒的に多い。
学校の先生への相談は約13%、
誰にも相談しなかった子供は約40%。

深刻な悩みがある際に、悩みの原因となっている人へ
相談はしないと思われるので、
学校での何かが理由であれば、学校側に相談はしないだろう。
このことから親が原因であれば親に相談はしないとも見れるので
やはり、最初の調査の
不登校の理由が家庭側が高いとする教師側の回答には疑問を持つ。

しかし、誰にも相談しなかった子供が約40%いることをみると、
教員親どちらにも言いたくないとみるか、
または、親に原因があるという見方もできる。
誰にも相談しなかった子供が約40%というのは高い数値である。


引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省
引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省

子供側が学校を休んでいる間の気持ちの調査は、
ほっとした・楽な気持ちにあてはまる、少し当てはまるの合計が
小中学どちらも70%と高い。
心配事は勉強の遅れに対する不安が小中学で60%以上。

引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省

子供が学校を休んでいる時の状況を
保護者からの視点で見た結果。
極度に落ち込んだり悩んだりしていた、
原因が8つきりしない腹痛、頭痛、発熱があったが
小中ともに60%前後。

引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省
引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省

子供が相談を話しやすい方法は
直接会って話すが50%近い。
中学生になるとメールやSNS相談が40%以上になる。

引用:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省

以上にあげた情報に加えて、
子供側の自分で自分を内観する時間も必要だろう。
自分のはどう感じているかどう思うのか
小中学生くらいではっきりと自分の気持ちを
明確に語れる子は少ないと思う。
語れるまで時間が必要になるだろう。
現状の状況整理などは大人にならないと
瞬時にできないし、大人にだってそれが難しいと
思う人もいる。

自分が今どんな状況にあり
物事に対する自分の気持ちをどのようにすればいいのか、言うのか。
方法もそれを述べるための語彙も身についていない。
小中学生の不登校時の心の中や本音の調査結果が
あまりないのも、この辺りの理由があると思われる。
子供の回答で、
わからない、特になしで片付けられる点は注視したい。

子供の本音が知りたいと親側、教師側が聞いても、
子供が答えられないで黙ったままの場合がある。
言いたくないんじゃなくて、
子供側からすると不可能だからである。
自分の本音を真に語れるのは
大人でも怪しいのだから。

欲しい答えはいつでも聞ける、知れるものではなく、
人間には自分の心を語れないという現実もあり、
それは言語を所有した人間の弱点であり、
どうしようもないこともあるものだと
認識してみると良いと思う。

◾️不登校は「家庭が原因」?教員と生徒で食い違いNHKによる中学生1968人調査で見えた実態
東洋経済オンライン


https://toyokeizai.net/articles/-/283662

◾️令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要
文部科学省


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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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