紙の漫画本は電子書籍になると面白さが激減しているんじゃないかと思ったことと紙漫画本の威力

紙の漫画本は電子書籍になると面白さが激減しているんじゃないかと思ったことと紙漫画本の威力

私は漫画家以外に3dアニメーターとしてゲーム制作の仕事もしているのですが
漫画をゲーム化にする仕事もよくあって
その開発に携わると、まず原作の漫画を読むわけですね。

漫画読む時って近年は大体電子書籍を見ることになるのですけど、
電子書籍になってから漫画をほとんど読まなくなっていたのですよね。
年をとったからか、話が頭に入ってこないことも多く、
「これなんだったっけ?」って思って何度もページを戻ったりする。
おまけにPCやスマホだと目も疲れるし1冊読むので疲れ切るのですよね。

漫画は若い人向けに描かれていると思っているので、
漫画をつまらないと感じるのは年齢的なものと自分では理解していたのですが、
「漫画つまらなくなった」、「年齢的なものでつまらないと感じる」
という2つの解答に対して私はスッキリしないモヤモヤを感じていたわけです。

ある時の仕事で長い巻数出ている漫画を読まないといけない時がありまして
読破するのめんどくさいなーと思っていた時に
現実逃避でふと昔の事を思い出したのですよね。

私漫画読むの昔好きだったのですよ。10代の頃の話ですが。
とてもたくさんの漫画本を持っていたのですけど、
どれもこれも面白くて、24時間読んでも面白くて、
眠りたくないくらい続きが読みたくて、
キャラクターにガッツリ感情移入してハラハラドキドキしたり笑ったり
時には泣いたりしながら夢中で読んでいました。
話が頭に入ってこないとか、設定がわからないとかで
ページを前に戻るなんてあり得なかったのですよね、当時は。

あんなに熱中していた漫画を面白くないと感じる自分になってしまったのは
残念だなという気持ちもあるのですけど
つまらないと思うのは、本当にそれは年齢的なものなのか?と
疑う気持ちがどんどん大きくなりまして、
面白さがわからない自分に真面目に疑問を持ったのですね。

で、その時ふと思ったのですよ。

私が漫画を夢中になって読んでいた時代って
電子書籍がなかった時。
紙の雑誌か紙のコミックで売られて読んでいた時代。

漫画って、雑誌に載る時、各漫画家さんの1話のページ数が決まっていて、
漫画の中身は何ページに何がきて、見開きでデザインされていて、
見開きのどこに何がある、ここの部分には何があるといいとか、
同じ大きさのコマを並べないとか、
読む時の目線誘導はセリフをS字に沿って読んでいくとか、
結構漫画って1ページ1ページ細部の細部まで
注文がある描き方をしているモノなのですね。
読んでいる側はそんなこと感じないと思いますが
誰でも自然に読めるようにする仕組みが組み込まれてのですね。

他にも色々と紙漫画の描く時の技術はあるけれど、
とにかく漫画は、印刷された漫画雑誌、コミックの出来上がりを想定して
面白い話以外にも技術や制約なんかも盛り込んで描いて、
製本して完成品となった状態のものを読む商品。

そこから外れた事をすると、紙漫画として完成された形を
壊しているんじゃないか、という仮説を持ったのですよ。

紙漫画って1ページ欠けてたら
多分意味わかんなくなる。
(商業の漫画1ページないって重いですね。)

なので、紙漫画として出版された漫画を紙印刷以外で読むって事は
漫画の欠けを作っているのではないか?

そこで電子書籍が出てくるのですが、
電子書籍って紙漫画(商業漫画)を読む想定で作ってないじゃないですか、
デバイス合わせで漫画をデバイス都合に合わせて作っていますよね。

電子書籍はデバイス都合で見開きを壊して1ページ単位で見せたり、
コマごと見せるようにしてしまったりする。
商業漫画の決まったページと見開きで作られた形が電子書籍では壊されてしまい、
ページの分断、コマごとに分けたことで
漫画に欠けをたくさん作り、その欠けが見えない妨害となっているのではないか?

そういえば電子書籍って紙漫画でペラペラ読む爽快さもあんまりないし、
雑誌やコミックサイズでちょうど良い読みやすいように作っているのに
(セリフの文字級数)
小さいスマホでは1ページでも小さくて読みづらくストレスを感じる。
紙漫画でページをめくった時の大ゴマの威力は小さなデバイスでは
小さすぎて感動に触れることもなく過ぎ去る。

特に少年誌は見開きにページをまたいだ大ゴマを入れたりするのですけど
電子書籍でページごとに分割したことで、
絵とセリフが分断されることも多く
パッと見た時、一瞬何が描かれているかわからないくて
ページを戻ったり進めたりする。
本来なら文字と絵が一体になって理解される所を分けてしまったことで
脳が「?」となる瞬間を作ってしまっている。

大ゴマは本当はとてもカッコイイシーンが描かれていて、
「おお!」と思う所なのに、
必要ないクエッションを持たせたことでかっこよさは激減する。

電子書籍の見開きページの分断、コマごとの分割は
紙漫画で見ている状態とは違う状態を作ってしまっているので
電子書籍で漫画を読む時に色々な作用がストレスを生み、
読むのめんどくさい、意味わからない、つまらない、
という感想に繋げてしまう。

紙漫画は電子書籍で読む用には作られていない。

それなら戻って紙漫画で読んだら普通に面白いんじゃないかな?

これは実験してみようと思い、
長い巻数出ている漫画を紙コミックで大人買いして
読んでみる事にしました。

紙のコミック買うのは何年振りでしょうか。
コミックスがまとまって届いた時はドキドキしました。

段ボールを開けて飛び出したのがコミックスの背表紙。
タイトルと巻数とキャラクターがずらりと並ぶ姿に
「うわあ!」と言ってしまうキラキラとした興奮が起こりましたね。

1冊手に取ってみて、表紙、背表紙を見た時のデザインの完成度、
両手に収まる小ささで、飾っておきたくなるコレクション力。
表紙を開いたところにある作者のコメント、
中表紙、目次、キャラ紹介や相関図の絵、文字、隅々まで
ついつい見てしまう。
かっこいい!

次のページをめくればいよいよ本題の漫画が始まる。
ここでドキドキがはじる。本当に、映画館で映画が始まる瞬間、
遊園地でジェットコースターが動く時のようなワクワク感が芽生える。
久しぶりということもあるから少し興奮しやすかったかもしれないですね。

中身を読んで最初から最後まで190ページほど
止まることなく一気に読みましたよ。
読んだら次の巻に手が伸び、読んだらまた次の巻。
慣れた手つきでページをめくり
覚えている漫画を読む時の目の動きで画面の内容を脳が処理をする。
ページをめくった時の
大ゴマを見て鳥肌が立ち興奮する。かっこいい!

テンポ良い話と絵と、定期的に大ゴマが繰り返し入ってくるので、
リズムの良い音楽を聴いているように気持ちが良い。
これですよ、漫画ってこうですよ。
紙の漫画って本当にいろんな楽しみの相乗効果が発生しているのですよね。
だからやっぱりこの紙の漫画の形が漫画の完成形、完成品なんですよ。

紙漫画を読んでいたら「?」が入り込む事もないので、
話の意味がわからなくなることもないし、
ブルーライトも発生しないから目も疲れない。
紙で読んだ方が断然良い。圧倒的に良い。とても面白いと感じる。
漫画が面白くなくなるわけないんですよ。
商業漫画ってやっぱり面白いんですよ。

というわけで漫画が面白いと思わなくなったことに対する結果は、

漫画を電子書籍で読んでいた事が良くなかった。

疑問が晴れてよかったです。

今回のことで紙漫画の威力を思い知りましたね。
漫画は今後紙漫画で読もうと思います。

Webtoonについてですけど
あれはもうWebtoon専用で最初から作っているので
ものすごく面白いです。

紙漫画の電子書籍については
電子書籍専用で読むのにもうちょっとねばって作った方が
いいんじゃないかという気がしてきたので
ちょっと研究して
なんかいいアイディアあったら投稿します。

近い将来デバイスがなくなり空間で見れるようになると
紙漫画に近い読み方ができるようになるのではないかとも
思うのですけどね。

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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