映画『武士道残酷物語』(1963年)の衝撃 ― 中村錦之助さんが演じる“忠義の狂気”と繊細な悲劇

映画『武士道残酷物語』(1963年)の衝撃 ― 中村錦之助さんが演じる“忠義の狂気”と繊細な悲劇

1960年代以降、時代劇は残虐で辛い内容の作品が多くなっていきます。

武士道に象徴される日本人の精神構造と、その裏にある被虐的な心理を描いた作品です。
飯倉家の先祖たちが、忠義を貫こうとするあまり
主君や国家のために悲惨な運命をたどる七つの物語が綴られています。

最初は飯倉家の先祖たちの悲劇を「可哀想だ」と思って観ていたのですが、
途中から彼ら自身も“忠義”という名のもとに追い込まれ、
やがて自らも酷い行為をするようになっていきます。
娘を老中に献上したり、元藩士に恋人の体を差し出したり、
ライバル会社で働く恋人に情報を盗むよう頼み、自◯未遂に追い込んでしまったりと、
非常に胸クソ悪い描写が続きます。

しかし、主演の中村錦之助さんの演技があまりに素晴らしく、
目を離すことができません。
特に「飯倉久太郎」の章では、殿様との男色関係に巻き込まれる若き学匠を演じています。
錦之助さんは繊細な男性を演じるのが非常に上手で、
もともと歌舞伎で女方を務めていたこともあり、
久太郎の細かな仕草や感情の機微を見事に表現しています。

物語の結末では、殿様の嫉妬によって久太郎が男根を切られるという
凄惨な展開を迎えますが、錦之助さんの繊細な演技に引き込まれ、
もっと見ていたいと思うほどでした。

錦之助さんは他の作品でも“大粒の涙”をこぼすシーンが印象的ですが、
この映画でも、殿様に噛まれる瞬間に流す大粒の涙があまりに効果的で、
思わず何度も見返してしまいました。

また、主君や上司を演じた俳優陣の“悪役ぶり”も圧巻で、
人間の残酷さをここまで見事に演じ切った演技はトラウマ級です。
おそらくこの映画を最後まで観ることは二度とないと思いますが、
「久太郎の章」だけは、また観たくなるほど印象に残りました。

1963年公開の映画「武士道残酷物語」の各章の話

※こちらのあらすじは「MOVIE WALKES P REES」さんから引用でご案内します。
https://press.moviewalker.jp/mv20876/

日東建設の営業部員、飯倉進は婚約者の人見杏子が自殺を計ったとの知らせに、眠っていたある記憶を呼びおこした。故郷信州の菩提寺で発見した先祖の日誌に記された、世にも残酷な話のことである。

【飯倉次郎左衛門の章】
関ヶ原合戦後、浪々の身であった飯倉次郎左衛門は信州矢崎の小大名堀式部少輔に拾われた。
寛永十五年主君と共に島原の役に服した次郎左衛門は、一揆勢に黒田屋敷を焼かれた科で
幕僚から叱責を受けた式部少輔の罪を被り、本陣門前で割腹して果てた。

【飯倉佐治衛門の章】
乱後三年、近習に取立てられた伜佐治衛門は衷心をもって病床の式部少輔に仕えたが、
勘気にふれて閉門を命ぜられ加増分を召上げられた。しかし、佐治衛門の忠心は変らず、
ほどなく死亡した式部少輔の後を追って切腹した。

【飯倉久太郎の章】
時代は元禄、江戸遊学中の佐治衛門の孫久太郎は時の藩主丹波守宗昌の眼にとまり
お手付小姓となったが側室萩の方との仲を疑われ、男色に狂う宗昌の命で羅切りの
酷刑にかかり果てには萩の方を妻にもらいうけ信州に帰った。

【飯倉修蔵の章】
天明期に移り、全国各地天災地変がおこり農民達は苛斂誅求に苦しんでいた。時の飯倉家当主修蔵は奉納試合で秘剣“闇の太刀”を披露し藩主安高に褒美を貰い、娘さとと野田数馬の祝言も決まるなど幸福の絶頂にあった。同じ頃、藩を脱け出した農民五名が江戸の老中田沼意知に直訴した。安高は国家老の勧めに従い美貌のさとを賄賂として献上、五人の濃夫を鋸引きの刑に処し、その上修蔵の妻まきを慰みものにしようとしたため、まきは自害した。閉門蟹居中の修蔵のもとに意知の死でさとが下って来たが、数馬との邂逅が安高の目にふれ二人は不義密通の科で捕えられた。耐えかねた修蔵は諌言を決意して陣屋に赴くが、安高は修蔵が得意の“闇の太刀”で罪人を斬れば許してやると目隠しをし、剣を握らせた。一瞬、見事打ち落した首はさとと数馬だった。修蔵は太刀を腹に突き刺すとその場に伏した。

【飯倉進吾の章】
時代は明治と変り、時の飯倉当主進吾は青雲の志を抱いて上京、気が狂った最後の藩主高啓の面倒を見て車曳をしながら勉学に励んでいたが、将来を誓いあったふじの体を高啓に奪わてしまった。進吾は悩んだ揚句病床の高啓の元へふじを通わせる決意をするが、その時、高啓は階段からころげ落ちた。その後、進吾はふじと所帯を持つが、身重の妻を残して日清戦争で戦死した。

【飯倉修の章】
その子、つまり進の父に当る多津夫は満州事変で戦死。進の兄修も第二次大戦に特攻隊員として戦死した。

【飯倉進の章】
そして現代、進は上司山岡営業部長に杏子との仲人を頼んだところ、信州ダムの入札に関する競争会社飛鳥建設の情報を盗むよう言われた。飛鳥建設のタイピストを勤める杏子はしぶしぶ承知した。程なく入札は進の日東建設の勝利に終った。乾杯の席上で進は山岡に結婚を延期するように勧められた。理由は式場に飛鳥建設の木原重役が出席するというだけのことだ。杏子の悲しみと怒りは睡眠薬服用というかたちで進を責めた。あの残酷な歴史、かくは生きまいと誓った進がそれをくり返していたのだ。進は意識を取り戻した杏子と二人だけで結婚する決心をした。

1963年公開の映画「武士道残酷物語」の視聴方法

東映オンデマンド加入で見れます。
またAmazonで視聴なら単品購入も可能です。
DVDもあります

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松元美智子 1996年少女漫画雑誌「ちゃお」デビュー/漫画家/イラストレーター/3DCGゲームアニメーター/書籍執筆/投資家/Python/UE5/最新刊「少女マンガの作り方」/Web「松元美智子クリエイティブブログ♡公式」で過去の漫画や制作に役立つ情報毎日投稿中/法政大学経済学部経済学科通信教育部生/メンタル心理カウンセラー

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