画家横尾忠則さんの創作中は無心
MEET YOUR ARTが３周年特別企画に
現在展覧中の「横尾忠則 寒山百得」展
の作者である横尾さんのスペシャル対談を
YouTubeで公開してくれたのですが
これが最高でした。
インタビューでは
横尾さんご自身の制作時のことを語っているのですが
学びが多かったです。
描くときに頭でっかちになりやすいのをぶった斬っていく爽快感と
何も考えない考えないで描くということは
いつまでも忘れたくないなと
今後の振り返り用に、このブログにメモしておこうと思いました。
以下インタビューでの横尾さんの言葉です。
体の中にある業とか、もっと言えば魂みたいなものが
何か要求すれば体はそれに応えるんじゃないかな。
頭は答えない。
頭脳を持ち込むと突如として体が動かなくなる。
頭脳全部排除して白痴状態にしてしまう。
僕の絵の場合はそう、
頭でものを考えていると何も動かなくなる。
頭って煩悩の塊だから、ろくなこと考えない。
損得しか考えないですよいつも。
だから損得の頭に左右されると、体が動かなくなる。
ピッチャーがボール投げて、バッターが打つ時、
手から球が離れて キャッチャーの方に行く。
そのわずかな時間にバッターは
ピッチャーが何を考えてうのこうのとか、
ものすごい情報量はあると思うんだけど、
それをいちいち言葉とか考えにできない。
その時反応するのは体。
絵もそういう状態になってくれると一番いい。
だからそうすると、普段の経験とか体験が影響してくるのかな。
（描いている時や評価されることについて）
頭からコンプスセットを外さなきゃいけない。
僕の場合はコンセプトが入っているとブレーキになっちゃう。
それは考えであったり、言葉であったり、
経験であったり、知性であったり、色々する。
それは邪魔になる。
そこから自立するのはやっぱり、郵便屋さんだね。
郵便屋さんは、
そこに住所が書いてあって、名前があって、
同じ番地の家に行ってそれをポストに入れて帰ってきて、
また次の郵便を探してその場所に行けばいい。
考えなくて済む。
考えないのが禅のテーマ。
考えないことが僕は得意。
「横尾忠則 寒山百得」展の作品、102点を1年ちょっとで描いた。
2、3日で1枚ずつのペース 。アスリートのよう。
アーティスト気分でやっていると描けなかった。
頭でものを考えたり、言葉にすると、論理にしたり、
そういう風な観念を全部排除しないとできなかった。
現代美術は、
観念とか言葉とか、論理とか思想とか、
そういったところから入っていきますよね。
僕は全くその反対で、
いかに考えないか、
そうしないとアスリートにはなれないんです。
（グラフィックデザイナーだった時と画家の今を比べて）
グラフィックは目的もあったり、
限界があるからやりやすいんだけど、
絵画というのは目的もないし限界もないし、
計画性も大義名分もとにかく何もない。
自分は何に向かって走っているのか、
向かう対象がない。
デザインはクライアントがいるので対象がある。
大半の人は僕の絵を、
非常に教養的、知識として見ようとする。
そういう風習がある。
これは何が描いてあるのか、何が言いたいのか、
目的は何だ、
そんなものは僕は全然ない。
僕は自主的でない。
相手から与えられる。
育ちも受動的。そういう育てられる方をされていた。
養子に行った先の老夫婦は、
僕が何かを求める前に察知してみんな与えられていた。
自分から選択するという、
こんなめんどくさいことをしたくないって、
与えられるのが一番いい。
◾️「横尾忠則 寒山百得」展
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2598
会期：9月12日（火）～12月3日（日）
会場：東京国立博物館 表慶館
開館時間：9時30分～17時00分（会場への入場は16時30分まで）
休館日：月曜日、9月19日（火）、10月10日（火）（注）ただし、9月18日（月・祝）、10月9日（月・祝）は開館
観覧料金：一般 1,600円(1,400円) 大学生 1,400円(1,200円) 高校生 1,000円(800円)
交通：JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
【スペシャル対談】やっぱり理想の職業は郵便屋さん？！│最新の展覧会「横尾忠則 寒山百得」展 を中心に、画家宣言から43年の横尾忠則を振り返る。
のインタビューはこちらのYouTubeで見れます。